2010 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺発がん分子機構の解明と分子標的治療の開発応用
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22390189
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山下 俊一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 大学病院, 准教授 (00233198)
鈴木 啓司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00196809)
光武 範吏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
サエンコ ウラジミール 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30343346)
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Keywords | 内分泌学 / 甲状腺がん / 遺伝子多型解析 / 細胞機能解析 / がん基礎研究 |
Research Abstract |
正常ヒト甲状腺初代細胞培養系における幹細胞様多機能分化細胞について形態機能の特徴を明らかにし、世界で初めて継代培養系の確立に成功した(Dedifferentiation of human primary thyrocytes into multilineage progenitor cells without gene introduction PLos One in press)。今後本正常甲状腺初代培養系を用いた放射線応答性をDNA損傷修復の違いなどから研究展開予定である。次に、甲状腺乳頭癌におけるBraf変異の特徴以外にも関連する細胞内情報伝達系の異常の有無を検索した。その結果他の関連遺伝子異常を見出すことができず、甲状腺乳頭癌におけるBraf変異特異性が高いことが証明された。放射線誘発遺伝子不安定性と発がん機構の解明においては、ATM依存性のDNA二重鎖切断修復分子機構の一部を明らかにし、各種細胞における放射線応答系路の特徴を解析した。さらに放射線誘発甲状腺がんの発がんリスクに関与する甲状腺特異的転写遺伝子TTF2(FOXE1)の遺伝子多型を見出し、その機能異常の有無について異なるFOXE1発現ベクターを用いた実験系を確立した。現在FOXE1に特異的抗体を用いた各種甲状腺がん組織とがん細胞株の免疫組織学的検索から、それぞれに異なる発現量を証明している。以上のin vitro実験系の成果から、in vitroにおける甲状腺発がんマウスモデルをBraf変異遺伝子導入から各種作成し、異なる条件下での発がんの有無と放射線照射による発がん促進を検討中である。これらの研究成果から放射線誘発甲状腺がんの分子機構が解明され、甲状腺特異的な転写因子群とDNA損傷修復遺伝子群の異常部位が明確となり、将来の分子標的治療の展開医療基盤に結びつく意義と重要性が再確認された
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Research Products
(23 results)