2011 Fiscal Year Annual Research Report
STAT3の分子異常により発症するヒト骨粗鬆症の原因解明
Project/Area Number |
22390205
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
峯岸 克行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10343154)
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Keywords | 原発性免疫不全症 / 骨粗鬆症 / STAT3 / モデルマウス / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / RANKリガンド |
Research Abstract |
原発性免疫不全症は免疫系遺伝子の先天的異常が原因で発症する疾患である。その1つの高IgE症候群は黄色ブドウ球菌による皮膚・肺の感染症、アトピー性皮膚炎、血清IgEの高値を呈するが、その多くで独特の骨異常(骨粗鬆症、病的骨折、脊椎側弩、乳歯の脱落遅延)を合併する。今回我々がその原因遺伝子を世界に先駆けて発見した本症候群において、STAT3分子の変異がどのような機序でこれらの骨異常を発症するかを解明し、その新たな治療標的を発見することを目的とした検討を行った。 高IgE症候群における骨粗鬆症の形成機構を詳細に検討するために、STAT3のドミナントネガティブ(DN)変異体を発現するコンディショナルノックインマウスを作成した。このマウスにおいて、新生骨に沈着する蛍光色素カルセインを96時間間隔で2回投与し、骨新生速度、すなわち生体内における骨芽細胞機能を評価した。その結果、骨芽細胞の機能低下があることが明らかになった。さらに、このマウスの破骨細胞分化を生体内で評価すると、破骨細胞数の減少があることが明らかになった。試験管内における破骨細胞分化能は正常であったが、共培養法による破骨細胞分化の検討で、骨芽細胞のRANKリガンドの発現低下が原因で破骨細胞分化が低下していることが明らかになった。以上より、高IgE症候群における骨異常は骨芽細胞の分化障害とRANKリガンド発現低下により引き起こされていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高IgE症候群の骨異常の細胞レベルでの発症メカニズムが明らかになり、当初の計画より順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、高IgE症候群の骨異常の細胞レベルでの発症機構が明らかになった。 今後は、高IgE症候群の骨異常の分子レベルでの解明を目指した研究を進展させる。さらに、この知見を利用して、一般の骨粗鬆症にも有効な新規治療ターゲットの発見、それぞれの症例ごとの個別化医療の開発を目指した研究の展開を図る。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Functional STAT3 deficiency compromises the generation of human T follicular helper cells2012
Author(s)
Ma CS, Avery DT, Chan A, Batten M, Bustamante J, Boisson-Dupuis S, Arkwright PD, Kreins AY, Averbuch D, Engelhard D, Magdorf K, Kilic SS, Minegishi Y, Nonoyama S, French MA, Choo S, Smart JM, Peake J, Wong M, Gray P, Cook MC, Fulcher DA, Casanova JL, Deenick EK, Tangye SG
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Defective IL-10 signaling in hyper-IgE syndrome results in impaired gene ration of tolerogenic dendritic cells and induced regulatory T cells2011
Author(s)
Saito M, Nagasawa M, Takada H, Hara T, Tsuchiya S, Agematsu K, Yamada M, Kawamura N, Ariga T, Tsuge I, Nonoyama S, Karasuyama H, Minegishi Y
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Journal Title
J Exp Med
Volume: 208
Pages: 235-249
DOI
Peer Reviewed
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