2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線がん治療における低線量被ばくによる正常組織反応の機構解明
Project/Area Number |
22390231
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松本 英樹 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (40142377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北井 隆平 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80251990)
成田 憲彦 福井大学, 医学部, 助教 (80345678)
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Keywords | 炭素線 / アポトーシス / マウス / 小腸 / 精巣 / 一酸化窒素 / 適応応答 |
Research Abstract |
(1)炭素線(2Gy)単回照射後の小腸および精巣でのアポトーシス誘導:炭素線(2Gy)を全身照射36時間後のマウス(5週齢)の小腸および精巣において、顕著にTUNNEL陽性細胞が認められた。またNO捕捉剤であるc-PTIOの照射前投与により、TUNNEL陽性細胞の出現頻度は抑制された。 (2)炭素線(0.02Gy)単回照射後の小腸および精巣でのアポトーシス誘導:炭素線(0.02Gy)を全身照射36時間後のマウス(5週齢)の小腸および精巣において、非照射の対照マウスと比較して有意にTUNNEL陽性細胞が認められた。またNO捕捉剤であるc-PTIOの照射前投与により、TUNNEL陽性細胞の出現頻度は抑制された。 (3)炭素線照射による適応応答の誘導:マウス(5週齢)に炭素線(0.02Gy)を全身照射し、24時間後に再度炭素線(2Gy)を全身照射し、36時間後の小腸および精巣において、2Gy単回照射のマウスと比較して有意にTUNNEL陽性細胞の減少が認められ、放射線適応応答の誘導が示唆された。またNO捕捉剤であるc-PTIOの照射前投与により、放射線適応応答の誘導は抑制された。 (4)炭素線照射により誘導されるTUNNEL陽性細胞の分布=(1)~(3)において認められたTUNNEL陽性細胞の分布を詳細に観察した結果、精巣においては精巣小体の最外層および第2層目に局在し、小腸においては小腸腺窩の基底部に局在していた。 以上の結果から、小腸および精巣において炭素線誘発アポトーシスが組織幹細胞および生殖幹細胞に特異的に誘導されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小腸および精巣において、重粒子線誘発アポトーシスが組織幹細胞および生殖幹細胞に特異的に誘導されていることを示唆する結果が得られ、来年度(最終年度)においては組織幹細胞および生殖幹細胞であることを同定し、幹細胞系の遺伝子発現を網羅的に解析することにより目標を達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)X線、炭素線、陽子線、アルゴン線により誘発されるアポトーシス細胞が組織幹細胞および生殖幹細胞であることを証明する。 (2)小腸幹細胞および精子幹細胞におけるX線、炭素線、陽子線あるいはアルゴン線誘発遺伝子発現をPCRアレイによって網羅的に解析し、低線量被ばくによる正常組織反応時の遺伝子発現プロファイルを明確にする。 (3)(1)および(2)の結果から、低線量被ばくによる正常組織反応の機構解明に迫る。
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Research Products
(10 results)