2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用を目指した死体臓器移植グラフトの免疫寛容に関する実験的検討
Project/Area Number |
22390246
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (30263247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 史郎 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70179547)
矢澤 浩治 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40569109)
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Keywords | アカゲザル / 死体腎臓移植 / 免疫寛容 / 骨髄移植(髄内移植) / リンパ球分画分析 / サイモグロブリン / MLR / CD2, CD20 |
Research Abstract |
国内外で移植片(グラフト)の免疫寛容を得るための様々な実験が行われてきたが、未だに臨床応用可能な免疫寛容法は、時に死体臓器移植において確立されていない。本研究の目的は、死体臓器移植(腎臓・心臓)に臨床応用可能な免疫寛容誘導法を、霊長類を用いて開発することである。 これを実現するポイントは、(1)いかに骨髄細胞の巣窟を作成するか(つまり、レシピエントの骨髄細胞の一部を排除し、ドナーの骨髄細胞が生着できるようにするか)と、(2)レシピエントの胸腺細胞の機能を低下させるかの2つであり、ドナーが見つかった後、移植までにこの二つのポイントを実現できれば、死体臓器移植にも応用可能と考えている。 本年度は、移植前の実験として、アカゲザル4頭のリンパ球分画を調査した。ヒトのCD2,CD3CD,4,CD19,CD22などに対する抗体を用いて、FACSをおこなったところ、CD2,CD20は各々79%,15%陽性細胞を認めたが、CD3CD,4,CD19は0.1-0.5%と少なかった。同時に、アカゲザル15頭のリンパ球を用いて、mixed lymphocyte reaction (MLR)を行ない、high responderとlow responderの組み合わせを選択した。 サイモグロブリン(Rabbit anti-human thymocyte globulin製剤)の投与により、胸腺細胞を減少できると考えられた。関西医科大学病理学第一講座池原進教授に、骨髄細胞の髄内移植法の手技の指導を受け、上記(1)(2)のポイントを実現するための、準備がほぼ終了した。キメラの状態を解明できるように、ドナーを雌のアカゲザル、レシピエントを雄のアカゲザルとし、夫々のリンパ球を採取して、ドナーとレシピエントを区別できる方法を検討し、区別する方法を開発した。来年度は、実際の腎臓移植を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎臓移植実験を始めるまでのキメラの区別、髄内移植の手技の確立に時間を要した。概ねH23年度にその準備はできたので、H24年度には腎臓移植実施可能と考える
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度にドナーとレシピエントを識別する方法を開発し、髄内移植の手技をマスターしたので、本年度は腎臓移植を雌のアカゲザルから二頭の雄のアカゲザルに行い、一方を対照群、他方を実験群として、免疫寛容が得られるかどうか検討可能であると考える。実験を行うたまの実験助手も採用し、準備はほぼ整ったと考える。
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