2010 Fiscal Year Annual Research Report
解糖系亢進に関わる肺癌特異的スプライシング異常の臨床的意義と診断・治療への展開
Project/Area Number |
22390272
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐藤 雅美 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (30250830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 宮城県立がんセンター(研究所), 薬物療法学部, 部長 (10196462)
田沼 延公 宮城県立がんセンター(研究所), 薬物療法学部, 研究員 (40333645)
佐藤 郁郎 宮城県立がんセンター(研究所), 病理学部, 部長 (50225918)
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Keywords | 肺癌 / スプライシング / モノクロナル抗体 / 解糖系酵素 / ワールブルグ効果 |
Research Abstract |
腫瘍細胞における異常な糖代謝(ワールブルグ効果)と関連する、肺がん特異的な解糖系酵素(PKM)遺伝子スプライシング異常の詳細を明らかにし、これを新たな診断指標として開発することを目的として研究を行った。 1)独自に開発したスプライシングアイソフォーム特異的モノクローナル抗体を用い、免疫組織染色条件の最適化を行った。肺がん組織アレイを用いた解析から、このスプライシング異常が、肺がんの中でも、非小細胞がん特異的であることが示唆された。Noguchi A/Bに分類される症例の解析から、ごく初期の肺がんにおいても、この異常がおきていることが強く示唆された。血中腫瘍マーカーへの応用を視野に、ELISA系開発も行い、市販品との比較において、明らかな有利性を確認した。 2)レポーター遺伝子由来の蛍光タンパク発現を指標としてスプライシングパターンをモニターできる独自のシステム(スプライシングパターン可視化系)を作製し、培養細胞を用いた一過性発現系において、その有用性を確認した。次いで、このシステムを染色体に安定的に組み込んだ培養細胞を作製し、現在その動作確認を行っている。また、肺がん組織レベルでの解析へと応用するため、可視化系トランスジェニックマウス作製に向けた予備的検討を行った。 これら成果から、PKMスプライシング異常の診断標的としての有用性・作製したモノクローナル抗体の有用性が示された。スプライシング可視化系は、この異常解消を狙った分子標的同定や、異常の更なる意義解明のために、非常に有用なツールと考えられる。 また、肺がんでの活性化が知られるErk経路の制御について、DUSP分子による制御機構を見出した。
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