2012 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類に特異的なニューロン新生と脳再生療法の研究開発
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22390273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嶋 哲盛 金沢大学, 医学系, 准教授 (60135077)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海馬 / 多価不飽和脂肪酸 / ニューロン新生 / CA-2,3 / CREB / BDNF / 苔状線維 / シナプス |
Research Abstract |
平成23年度までの研究では一過性完全脳虚血ザルを用いて、主として成体脳ニューロン新生が誕生する歯状回を対象として研究を行って来た。歯状回で誕生した新生ニューロンは虚血後2〜3週目にかけて、CA2-3領域にmossy fiber(苔状線維)を伸ばし、新しいシナプスを形成する。そこで、平成24年度の研究ではCA2-3領域を対象として、GPR40と転写因子であるphosphorylated cAMP response element-binding protein (pCREB)の発現について検索した。同時に、pCREB の下流にあるbrain-derived neurotrophic factor (BDNF) とそのレセプターであるtropomyosin receptor kinase B (TrkB)の発現に関しても検索した。さらに、pCREB とBDNF との間をつなぐメッセンジャーであるERK1/2やAkt、Phospholipase C、Calmodulin kinase IV、Mapkinaseなどの分子の虚血負荷後の動きも検索した。その結果、すでに、歯状回において報告したのと非常によく似た結果がウエスタンブロットや免疫組織化学的検索で得られた。すなわち、GPR40とpCREBいずれもは虚血負荷後の第2週目に発現が亢進していた。免疫組織化学的にもGPR40とpCREBの局在発現パターンはほぼ一致しており、歯状回の新生ニューロンからCA2-3領域に伸展するmossy fiber(苔状線維)に発現していた。一方、BDNFの成熟型(mBDNF)とTrkBの蛋白量は有意な発現増加を示さなかったが、AktやERK1/2については虚血後、歯状回からCA2-3領域に苔状線維が伸展する時期と一致して、発現が増加する傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)霊長類に特異的な成体脳ニューロン新生のシグナル経路の中間経路についてはまだ不明な点が多く、今後さらなる検索を要する。 2)上記のカスケードが真に多価不飽和脂肪酸によって惹起されているか否かについても、検索を続ける必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血ザルに投与する多価不飽和脂肪酸の量を変えて、dose-dependentにGPR40やCREBの活性化、およびBDNFの産生量の増加が起きていることを証明する必要がある。
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