2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疼痛発現におけるエピジェネティクス制御機構の網羅的解析
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22390300
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
成田 年 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40318613)
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Keywords | エピジェネティクス / 慢性疼痛 / 脊髄 / ヒストン修飾 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
慢性疼痛モデル(Seltzerモデル)動物を作製し、脊髄後根神経節あるいは脊髄を採取して行ったDNAマイクロアレイ法に従い、網羅的に遺伝子発現変化を解析した。DNAマイクロアレイ法から得られた知見をもとに、各変動遺伝子の定量的解析をreal-time PCR法に従って行なった。Real-time PCR法によって確認された変動発現遺伝子のエピジェネティクス修飾を解析するために、標的DNAのメチル化を検討した。DNAメチル化解析には、メチル化感受性制限酵素を用いる方法と重亜硫酸塩による塩基置換反応(bisulfite-mediated conversion)を用いた方法があり、後者の反応ではC(シトシン)がU(ウラシル)へと化学的に変換される。前者の方法として、メチル化感受性制限酵素を用いたサザンブロット法、後者の方法として、bisulfite sequencing法、MSP(methylation-specific PCR)法などがある。本研究ではこうした方法を利用してDNAメチル化を解析した。その結果、慢性疼痛モデルマウスの脊髄においてはDNAメチル化の変化は認められなかった。さらには、標的DNAのヒストン修飾を解析するためにそれぞれのヒストン修飾抗体を用いて、クロマチン免疫沈降(ChIP)を行ない、DNAマイクロアレイ法およびreal-time PCRの結果をもとに、ChIP on PCRを行なった。その結果、いくつかの遺伝子の転写開始点直上において、ヒストン修飾変化が認められた。すなわち、慢性疼痛下におけるエピジェネティクス修飾を伴った、発現変動する遺伝子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は、当初の研究計画通りに進んでいる。理由として、慢性疼痛下の脊髄における発現変動遺伝子の特定、DNAメチル化の解析ならびにヒストン修飾の解析の結果が得られているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
エピジェネティクス修飾を伴い発現変動する遺伝子を同定したが、数因子の動態だけでその慢性疼痛を説明することは困難で有り、根本的な治療方法を見出すためには、病態を制御する分子動態の網羅的解析が必要であると考えられる。そこで、今後はChIP on chip法やChIP seq法を用いた、ヒストン修飾の網羅的解析を行う。さらには、ヒストンのメチル化などを修飾するエンハンサーやコ・リプレッサーの発現変化ならびにヒストン修飾因子の発現を調節するnon-cording RNAであるmicroRNAの発現変化を網羅的に解析する。
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Research Products
(5 results)