2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波聴覚のメカニズムと最重度難聴者のための超音波補聴システムの実用化研究
Project/Area Number |
22390319
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
細井 裕司 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80094613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠司 産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (70357614)
西村 忠己 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60364072)
下倉 良太 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90455428)
高木 悠哉 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40572350)
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Keywords | 耳科学 / 聴覚 / 超音波補聴器 / 最重度難聴者 / 純音閾値 / 語音明瞭度 |
Research Abstract |
現在、全く音が知覚できない最重度難聴者に対して人工内耳があるが、手術を要するために適応困難な難聴者も多い。そこで我々は、頭蓋骨を介して、超音波を搬送波として音声を聴覚系に伝える超音波補聴器の研究・開発を行っている。 平成22年度は主に(1) 語音刺激長と脳磁界反応との関係、(2) 最重度難聴者のリハビリテーションに関する研究を行った。補聴器を使って語音を聞き取る場合、発話速度を下げると聞き取り精度が向上する。この現象を生理的に検証するため、超音波で搬送された語音の刺激長を変化させて、その際起こる脳磁界反応を脳磁図(MEG)で計測した。その結果、骨導超音波語音に対して脳が刺激長の弁別を行っていることが明らかとなった。これは聴覚情報処理過程における違いを反映していると考えられ、今後は発話速度を知覚するメカニズムの解明と、補聴器の信号処理への応用を検討する。 上記基礎研究と平行して、最重度難聴者に骨導超音波補聴器に貸与し、リハビリテーションを行う実用化研究も行った。被験者は貸与された補聴器を日常的に使用し、隔週で来院してリハビリテーションを現在も行っている。リハビリテーションでは主にクローズドセットによる単語の聞き取り、文章の聞き取りと朗読、歌曲の聞き取りを行っている。リハビリテーションを行いながら、正答率の変移、間違えやすい単語、聞き取りにくい文章の箇所などを把握し、今後の研究課題発見に役立てている。
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Research Products
(16 results)