2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体反応関連分子の遺伝子多型解析に基づく個別化治療確立に関する研究
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22390335
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
織田 成人 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90204205)
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Keywords | 生体反応 / 遺伝子多型 / DNAアレイ / 表現型 / サイトカイン / 個別化治療 |
Research Abstract |
侵襲に対する生体反応は、免疫一炎症反応に関連する各種分子の遺伝子多型によって左右されることが報告されている。この個人差は、続発する臓器障害の発症頻度や転帰に大きく影響することが明らかになっている。また、これら遺伝子多型頻度の人種差が各種の治療に対する反応性の差となって現れる可能性もある。本研究では、これら遺伝子多型に関する情報をさらに多くの個体を対象として集積し、臨床経過との関連を研究することで、日本人独自の重症救急患者に対する個別化治療を確立することを目的とする。本研究では、自施設での過去の研究を基に、多施設共同研究でより多くの個体の遺伝子情報と臨床情報を収集する。全国5施設でインフォームド・コンセントを得た上で検体採取と臨床データ収集を行う。また、ハイリスクと診断された症例のサイトカインプロファイルを、非ハイリスク患者と比較検討する。さらに患者全血をエンドトキシン(LPS)で刺激し、血中サイトカインプロファイル等から表現型の違いを明らかにし、これらの反応を制御するための治療法の確立を図る。本年度までに、協力施設5施設において検体採取が継続され、計677症例(目標1000症例)が登録された。現時点で,ICU患者重症化予測として有望な遺伝子多型としては,IL1RA VNTR(variable number of tandem repeat),TNF-308*G/A,IL1B-31*C/T,などが中間結果で挙がっている.そして,1μg/mLのLPS刺激により,IL-1ra,IL-1β,TNF等の産生量に関して,異なる遺伝子型間で表現型に差が生じるか否かにつき検討中である.現時点で,IL1RA VNTRのminor allele保有者で,IL-1β産生に比し,相対的にIL-1ra産生が少ない傾向が認められている.今後他のサイトカインおよびそれらのmRNA発現についても詳細に測定する方針である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンプルの収集,患者データの集積,ex vivoassayは概ね順調であったが,遺伝子多型解析の手法として,当初導入していた遺伝子検出バイオチップ(DNAアレイ)の精度が不安定となり,原因検索を行ってきたが結局,別の手法に切り替えざるを得なくなったため.
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Strategy for Future Research Activity |
前記,別の遺伝子多型解析手法としては,the template-directed, dye-terminator incorporation assay with fluorescence polarization detection (TDI・FP)法,もしくは,TaqManassayを試行している.後者に関しては全ての遺伝子多型マーカでmethodologyが確立しているが,より廉価に施行出来る前者に関しては,若干不安定さが残る.そのため,研究費の残額次第では後者の手法を選択するもその多型マーカ種類を削減する可能性もでてきた.
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Research Products
(3 results)