2012 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経ニューロンの過敏化に対する新規治療法の開発
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22390365
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松香 芳三 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90243477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
山本 由弥子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20403496)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 三叉神経障害性疼痛モデル / 神経節細胞 / 疼痛行動 / 知覚神経節 / A型ボツリヌス毒素 / 遊離 / 神経内走行 |
Research Abstract |
1.三叉神経内の改良A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)の軸索輸送。シナプス小胞内への取り込み時に機能するBoNT/A-Hcの N-末端を蛍光標識したものをラット顔面部に注射し、数時間後に観察したところ、同側の三叉神経節細胞で染色が確認された。反対側、染色液のみの注射では染色は観察されなかった。また、神経軸索輸送を阻害するコルヒチンを投与したものでも染色は観察されなかった。このことから、末梢に注射したBoNT/A Hcが神経輸送を介して三叉神経節に到達したことが理解できた。さらに、三叉神経への取り込みにおいては抗SV2C抗体を事前に投与したものではBoNT/A-Hcの取り込みが減少することが観察され、SV2C受容体が取り込みに関与していることが理解できた。 2.BoNT/Aによる三叉神経節におけるSNAP-25タンパクの切断。BoNT/AとSNAP-25を共培養し、BoNT/AがSNAP-25を切断するのかをWestern blotにより観察することを再度行なったが、我々のシステムでは検出限界以下であった。別の手法を試みることを考慮している。 3.三叉神経障害性疼痛モデルにおける温熱刺激(疼痛刺激)に対するBoNT/A投与後の変化。昨年度に当初の計画段階まで達成した。 4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応。後根神経障害性疼痛モデルを作成したところ、温熱刺激、機械刺激に対する閾値の低下が観察された。このモデルの後根神経節にBoNT/Aを直接投与したところ、閾値の回復が観察された。このことから、BoNT/Aは神経節において効果を表すことが理解できた。また、BoNT/A投与後にはCGRPに陽性を示す後根神経節細胞が減少しており、BoNT/Aが神経伝達物質の遊離に関与していることが理解できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画と比較すると特に大きく遅れている項目は見られない。また、3.三叉神経障害性疼痛モデルにおける温熱刺激(疼痛刺激)に対するBoNT/A投与後の変化ならびに4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応の項目においては当初の計画よりも進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.三叉神経内の改良A型ボツリヌス毒素(BoNT/A)の軸索輸送に関してはBoNT/A-Hcが末梢神経節よりも中枢に移動するのかを検討する。そのためには、脊髄や脳組織の染色を観察する。 2.BoNT/Aによる三叉神経節におけるSNAP-25タンパクの切断に関してはWestern Blot以外の手法(SNAP-25が切断されると反応するマーカーなど)を模索する。 4.末梢神経障害性疼痛モデルの知覚神経節にBoNT/Aを直接投与することによる鎮痛反応に関しては、BoNT/A投与による運動機能への影響、直接投与したBoNT/Aが中枢に移動するのかに関して観察する。
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Research Products
(7 results)