2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390372
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 朗仁 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (50244083)
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Keywords | 脊髄損傷 / 歯髄幹細胞 / 運動機能回復 / 神経保護効果 / 軸索伸張抑制因子 / 細胞補給効果 / オリゴデンドロサイト / 医療廃棄物 |
Research Abstract |
脊髄損傷は損傷部位より下位に重篤な機能障害塗もたらします。その病態は複雑であり有効な治療法が開発されていません。我々は、医療廃棄物であるヒト脱落乳歯や抜去した親知らずから採取した歯髄幹細胞による新しい脊髄損傷治療の可能性を見いだしました。さらに歯髄幹細胞が3つの再生メカニズムを発揮することで中枢神経を再生することを明らかにしました。完全に切断したラット脊髄に歯髄幹細胞を移植すると下肢運動機能が回復します。移植した歯髄幹細胞は、(1)神経保護効果:神経損傷に伴う脊髄細胞の死を効率に抑制します。(2)抗-軸索伸張抑制因子効果:中枢神経の損傷部位にはグリア瘢痕が形成されます。グリア瘢痕は、神経軸索の伸張や再生を抑制する様々な分子を産生し神経再生を抑制します。歯髄幹細胞から分泌される因子は、グリア瘢痕由来の軸索伸張抑制分子の効果を掬制し脊髄神経の再生を促します。(3)細胞補給効果:中枢神経では軸索を覆う髄鞘によって神経伝達速度が維持されていますが、神経損傷によってこの髄鞘を形成する細胞(オリゴデンドロサイト)が消失します。脊髄損傷部位に移植した歯髄幹細胞は、オリゴデンドロサイトに特異的に分化し髄鞘の再生に貢献します。重要なことに治療効果(2)および(3)は他の生体幹細胞では報告のない、歯髄幹細胞に特異的な神経再生能力でした。実際、「歯髄幹細胞移植による下肢運動機能の回復効果は、骨髄由来の幹細胞より強力であることが明らかとなっています。さらに、歯髄幹細胞は不要となった生体組織から採取可能であるため幹細胞採取による生体侵襲は無視できるほどです。またラット脊髄に移植した歯髄幹細胞の腫瘍形成能は検出されませんでした。本研究成果は有効な治療法のない脊髄損傷の治療に新しい可能性を提供するだけでなく、医療廃棄物の有効利用に道を開く画期的な研究成果です。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Stromal cell-derived factor-1 enhances distraction osteogenesis-mediated skeletal tissue regeneration through the recruitment of endothelial precursors2011
Author(s)
Fujo, M., Yamamoto, A#., Ando,Y., Shohara, R., Kinoshita, K., Kaneko, T., Hibi, H., Ueda (#correspondence)
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Journal Title
Bone
Volume: 49
Pages: 693-700
DOI
Peer Reviewed
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