2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・歯根膜由来浮遊幹細胞の系統的初期化とその中枢神経性疾患への応用
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22390375
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
住田 吉慶 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50456654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 泉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30221039)
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
各務 秀明 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (80242866)
縣 秀樹 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (20581177)
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Keywords | 幹細胞源 / リプログラム / 神経堤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトの歯牙間葉系細胞から神経堤細胞への初期化を、様々な培養条件を中心とした簡便な方法で試みることである。さらに、得られた細胞を、神経堤細胞の分化系譜の近縁に当たる中枢神経の疾患モデルに応用することで、その可塑性を評価することが目的である。採取が容易な口腔組織から、簡便な方法で神経堤細胞に近い段階にある細胞を選択/誘導することが出来れば、その分化系譜に近い組織に対して制御性の高い再生医療を実現できる可能性がある。本年度は、まずヒト培養歯根膜由来細胞(PDLCs)を幹細胞選択的な条件として知られる低酸素(<0.1%O_2)条件下に晒すことで、幹細胞関連因子の発現の変動について解析を行なった。さらにPDLCsから得られる浮遊細胞塊から単離した浮遊細胞(F-PDLCs)について、同様な低酸素条件にて再度浮遊培養を行ない、幹細胞因子の発現動態を解析した。その結果、<0.1%O_2の低酸素条件下で培養されたPDLCsについては、培養24時間後において、Stro-1陽性率の上昇や、sox2やoct4の一過性の遺伝子発現など、幾つかの幹細胞因子に発現変化が大きく認められた。又、同様の低酸素条件下で浮遊培養されたF-PDLCsは、通常の酸素濃度における培養時と比較して、短期に大きな細胞塊の形成が認められた。この細胞塊を蛍光免疫染色にてStro-1の発現解析を行なったところ、細胞塊の内層に陽性細胞を多数認めることができた。しかし、細胞塊の表層には陽性細胞は認められなかった。これらの結果は、PDLCsの培養において、幹細胞選択的な培養条件と考えられる浮遊培養に低酸素培養を組み合わせることで、さらなる細胞の初期化を誘導し得ることを示唆している。現在、低酸素培養を経たF-PDLCsについて、神経堤関連因子の発現動態を調査すると共に、ドーパミン産生細胞への分化誘導を試みているところである。
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