2012 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄・歯根膜由来浮遊幹細胞の系統的初期化とその中枢神経性疾患への応用
Project/Area Number |
22390375
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50456654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00294570)
各務 秀明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80242866)
縣 秀樹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20581177)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 幹細胞原 / リプログラム / 神経堤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトの歯牙間葉系細胞から神経堤細胞への初期化を、様々な培養条件を中心とした簡便な方法で試みることである。さらに、得られた細胞を、神経堤細胞の分化系譜の近縁に当たる中枢神経の疾患モデルに応用することで、その可塑性を評価することが目的である。採取が容易な口腔組織から、簡便な方法で神経堤細胞に近い段階にある細胞を選択/誘導することが出来れば、その分化系譜に近い組織に対して制御性の高い再生医療を実現できる可能性がある。 昨年度までに、低酸素環境下や浮遊培養下、およびにそれらを組み合わせた条件下において短期培養を行うと、歯根膜由来細胞(PDLCs) に胚性幹細胞や神経堤の関連遺伝子が一過性に誘導されることを見出している。本年度は、まず、このような刺激を与えた細胞の可塑性を評価するため、骨、軟骨、脂肪や神経への分化誘導をin vitro において試みた。その結果、骨芽細胞や軟骨細胞、脂肪細胞への分化は、<3%O2の低酸素条件下で短期間培養した時のPDLCsが最も誘導性に優れていた。しかしながら、神経分化に関しては、<3%O2の低酸素条件下で短期間培養を行なったF-PDLCsにおいて、β3tublinやgfap、TH、nesitnの蛋白発現が、他の群と比較して増加しており、この条件下でのF-PFLCsは骨芽細胞や軟骨細胞などより神経系の細胞へ高い誘導性を持つと考えられた。しかしながら、これらの可塑性に関する実験ついては、採取した細胞の個体差も大きく、多面的に評価を行なう必要がある。現在、移植実験も含めて、ドーパミン産生細胞への誘導性を様々な条件で検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のゴールは、歯牙間葉系組織由来の浮遊幹細胞をパーキンソン病モデルに移植することによって、浮遊幹細胞の可塑性とそれを用いた細胞治療の可能性を評価することにある。現在、浮遊細胞からより可塑性の高い幹細胞の誘導・抽出を主に試みているところであるが、今のところ、このような効果的な培養条件の評価・解析に時間が費やされている。これは、この可塑性の高い幹細胞の培養条件の設定が本研究の最も重要なベースとなる部分であるので、十分に時間をかけているためである。本研究はあと1年の期間を残しているが、本期間内に移植実験での評価を少しでも積んでいくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、歯牙間葉系組織からより可塑性の高い浮遊幹細胞を誘導・抽出し、それらを効果的に培養する条件を開発することが重要である。パーキンソン病の疾患モデルの作出や細胞の線条体への移植方法は、海外の研究協力者がこの分野に詳しいため、in vivoの実験においては共同実験を行なうつもりであり、既にそのための準備に取り掛かっている。
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Research Products
(4 results)