2011 Fiscal Year Annual Research Report
島嶼地域住民における口腔と全身健康状態の相互関連性に関するコホート研究
Project/Area Number |
22390402
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
齋藤 俊行 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10170515)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 秀明 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (20238140)
川崎 浩二 長崎大学, 長崎大学病院, 准教授 (60161303)
前田 隆浩 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40284674)
|
Keywords | 歯周病 / 動脈硬化 / 慢性炎症 / 頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT) / アディポカイン / 疫学 |
Research Abstract |
平成20年~22年に実施された本調査参加者のうち,40歳以上の有歯顎者1504名について、歯周組織検査(平均歯周ポケットおよび平均アタッチメントロスの3分位)とIMT(頸動脈エコーで測定された最大IMT1mm以上を異常とした)、他の動脈硬化危険因子(特定健診の基準に従い、腹囲、高血糖、脂質代謝異常、高血圧および喫煙歴を用いた)を共変量に多変量解析を行なった。その結果、年齢、性別、高血圧、過去の喫煙とともに、平均歯周ポケット、平均アタッチメントロスはIMTの異常と有意に関連しており、いずれも大きいほどIMT異常者は有意に増加していた(p for trend=0.03, 0.02)。また、歯周ポケットおよびアタッチメントロスの最大カテゴリーにおけるIMT異常の調整オッズ比は最小カテゴリーに比べ、それぞれ1.5倍、(p<0.01)、および1.6倍(p<0.01)であった。平均歯周ポケットおよび平均アタヅチメントロスはいずれもIMTの肥厚と関連しており、歯周病が動脈硬化に影響していることが示唆された。 本調査の対象者の一部に対して唾液を採取しているが、H21年の唾液、血液サンプルのIgMクラスの抗ホスホリルコリン(PC)抗体価を調べた。歯周組織検査を行った117名を,歯周疾患群と歯周健常群の2群に分けて,各動脈硬化検査値による動脈硬化リスクを目的変数,各抗PC抗体価を説明変数としたロジスティック回帰分析を行ったところ,歯周健常者群において,唾液中と血中のIgMクラスの抗PC抗体価の高値が心臓足首血管指数(CAVI)によって判定される動脈硬化リスクの低下と関連する可能性が示唆された。 五島市の歯科医院のない小離島(3島)にて歯科に関するニーズ調査を行なったところ、84%が、島に歯科医院が無いために困ったという経験があり、歯科治療回数を減らす為に抜歯をした者が45%存在した。また、166名の世帯主のうち88%が島での歯科診療を希望しており、高齢化が進んだ歯科医師不在の小離島における歯科医療体制の充実が望まれる事が分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度3つの学会発表が出来たが、本筋である動脈硬化との関連性について、英語論文化しているとこちである。これがパブリッシュされれば当初の主な目的の1つは達成されたことになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
調査結果が蓄積されるにつれ結果が出てきている。現在、歯周病細菌の血清抗体価のデータも増えてきた為、解析を始めている。
|
Research Products
(3 results)