2012 Fiscal Year Annual Research Report
南米・北パタゴニア氷原の氷河変動と環境変動の対応解析
Project/Area Number |
22401003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安仁屋 政武 筑波大学, 名誉教授 (10111361)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パタゴニア / 北パタゴニア氷原 / 氷河変動 |
Research Abstract |
H24年度も2月に空撮と現地調査を行った。垂直写真を撮る予定のエクスプロラドーレス氷河とソレール氷河のうち、前者には低い雲がたれ込み、垂直写真撮影はできなかった。ソレール氷河では予定通り高度4000mから垂直写真撮影を実施した。その後、飛行高度3500~800mで氷原を周回飛行して氷河末端を空撮した後、エクスプロラドーレス氷河に戻ってきたが、午前中と同様にべったりとした雲に覆われていた。この為、高度を800mぐらいまで下げて雲の下に入り空撮をせざるを得なかった。一部垂直写真撮影を試みたが、高度が低すぎて残念ながら実用にはならない。 空撮の後、エクスプロラドーレス氷河で現地調査を行った。氷河表面の変化を記録するべく、正面のモレインに定点カメラを設置し、1日に1回撮影するよう設定した。さらに氷河を歩き氷河表面の変化を観察し、定点写真撮影を行った。昨年、現地に来られなかったので2年振りの観察である。その結果、氷河表流水路がある部分は驚くほど変化していた。 昨年、一昨年の空撮写真との簡単な比較では以下のような変動が認められた。ソレール氷河の末端はここ3年ぐらい前進していて、数年前に前面のモレインから離れていた末端が現在、モレインに接している。この前進は、一時的なものと解釈している。サン・ラファエル氷河、グアラス氷河、レイチェル氷河はほとんど変化していない。一方、サン・キンティン氷河はカービングによる後退を継続しているが、以前より活動は減少している。このことはシュテフェン氷河も同様である。コロニア氷河の後退が特に顕著で、末端から数キロ上流左岸にある湖カチェット・ドスの影響によるものと考えられる。この湖は2008年に初めて氷河の下を通って短時間で排出された。その後、このような排水の頻度が高くなったので氷河がもろくなり、 カービングによる後退が加速されたと解釈できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に、氷河末端の空撮は順調に出来ており、興味深い変動が捉えられている。しかし、調査期間の悪天候のため、2011年度と2012年度に渡ってエクスプロラドーレス氷河の垂直写真撮影ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
一部、垂直写真撮影ができなかったが、必要とする氷河末端の空撮データは順調にとることが出来ている。これからも当初の計画通り、氷河末端の空撮を行い、さらにエクスプロラドーレス氷河とソレール氷河を対象として垂直写真撮影を行う。これらのデータを使って年々の氷河変動をモニターし、環境変化との関連を考察していく。
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Research Products
(3 results)