2011 Fiscal Year Annual Research Report
スハルト後のインドネシアにおけるテレビ放送の「公共性」と商業主義
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22402006
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
倉沢 愛子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00203274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 耕 東海大学, 文学部, 教授 (30269633)
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Keywords | テレビ / 政治 / インドネシア / 商業主義 / 選挙キャンペーン / 公共性 / 宣伝 |
Research Abstract |
地方のテレビ局の活動の中で政治色を持った番組がどのような形で放送されているのかを具体的な事例を通じてみるために、マレーシアとの国境にある西カリマンタン州サンバス県の地方放送局のケースを調査したほか、中央放送委員会の活動を追った。とくにサンバスの放送は、国境地域に対する統合政策の一環として地方政府が行っているものであり、公共放送のありかた、インドネシアにおける「公共性」を考える上で非常に示唆深い事例となった。1980年代までであれば、国営放送に担わせたはずの機能を各地域の実情に応じて、地方政府に担わせるようになった状況はあきらかに地方自治の時代を反映している。そしてまたこのことは、中央放送委員会を軸とした民主化後の放送政策の趣旨とずれを感じさせるものでもあった。今後、他の国境地域の事例も見ることで議論を深めたい。 それとは別に、全国放送のコマーシャル枠で放映されていた各政党の宣伝映像の内容分析も引き続き行った。まず第一に、平成22年度の研究ですでに収集(録画)してあった多くの画像の整理・翻訳や分析を行なった。第二に新たな映像の収集も行った。国政選挙の年ではなかったため、放映された映像の数は少なかったが、地方首長選挙キャンペーンに際しての宣伝が、全国放送でも放映されていたので、これらも対象とし収集(録画と音声翻訳)した。そのようにして収集した映像分析に次いで、視聴者によるこれらの映像の受容形態や認知度に関する調査を、ジャカルタ市南郊の集住地区レンテンアグン町にて行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倉沢も内藤も現地調査に十分時間をとることができ、予定していた研究はほぼ実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、国政選挙に引け劣らない重要な政治的イベントであるジャカルタ特別市知事選挙が予定されており、TVの政治的利用を観察する一つの良い機会であるので、引き続き現地へ足を運び映像の収集に努める。さらに、地方のテレビ局の役割や地方政府の公共放送の在り方を、いくつかのケースをとりあげながら調べていき、その過程でネットワーク化の進展状況を中央対地方、大資本対コミュニティ志向の構図の中で整理していく
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Research Products
(2 results)