2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーと災害復興―制度設計と生活再建をめぐる課題に関する国際比較研究
Project/Area Number |
22402009
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山地 久美子 関西学院大学, 災害復興制度研究所, 研究員 (20441420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 民代 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (50416400)
陳 來幸 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (00227357)
室崎 益輝 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (90026261)
松岡 悦子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (10183948)
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Keywords | ジェンダーと災害復興 / 生活再建 / 防災会議・防災会議幹事会 / 復興計画・復興まちづくり / 阪神・淡路大震災 / 東日本大震災 / 九二一地震・八八水害(台湾) / ハリケーン・カトリーナ(ニューオーリンズ) |
Research Abstract |
本研究では国内外でこれまで行われてこなかった防災・災害復興におけるジェンダーの課題に焦点を置いて調査を進めている。都市型の大災害、阪神・淡路大震災(1995年)では6000名以上の尊い命が失われた。復興の過程では被災者を中心とした災害復興=「人間復興」の重要性が認識された。そこでは男性の視点が中心で女性の視点が欠如していたことは阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震後にも指摘された。しかし、16年経って2011年3月11日に発生した東日本大震災では日本社会が同じ状況にあることが露呈した。 (1)災害の被害者となりやすい女性(死者数の男女の違い、経済的脆弱性の影響) (2)被災後の男女の異なる生活状況や支援ニーズ (3)生活再建支援等の各種制度、情報アクセス、政策へのアクセスにおける男女の違い (4)被災前の社会経済的状況に回復するまでの必要年限・支援制度等 (5)復興計画・復興まちづくりにおける女性の参画 (6)マスメディア:ジェンダーに敏感な被災地情報の発信 日本では防災会議や防災会議幹事会、災害まちづくり(復興計画等)に女性が主体として参加していない。災害後の各種受給においても世帯主制度の課題が存在している。生活再建に必要な雇用の問題において女性がもっと支援を受けやすい制度設計が必要である。このような社会的課題の多くは実は恒常的な課題でもある。また、韓国(江原道水害)・台湾(九二一地震・八八水害)・ニューオーリンズ(ハリケーン・カトリーナ)の被災地でのインタビュー調査においても女性は公的な立場から災害復興に関わっていない実情が明らかになった。このように国際比較の側面からも継続して調査を進める必要性がある。
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Research Products
(9 results)