2011 Fiscal Year Annual Research Report
オフショア地域における信託の受容と発展に関する調査研究
Project/Area Number |
22402012
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡辺 宏之 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10376402)
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Keywords | 法学 / 基礎法学 / 比較法 / 信託法 / オフショア / エクイティ / 大陸法 / 信託の受容と発展 |
Research Abstract |
本研究による成果を、昨年度に引き続き、大学紀要に比較信託法特集として刊行した。 「特集:比較信託法制 欧州の研究者との対話」(季刊企業と法創造32号、2012年3月)。本特集では,比較信託法制研究に関する.イングランド,スコットランド・ハンガリーの車越した研究者との3件の会談記録を掲載している。 (1)Paul Matthews=Hiroyuki Watanabe,"The Essence of the Trust and the Ambiguity of the concept of 'Property'"英国信託法の第一人者的存在であり,大陸法諸国やオフショア諸法域の信託制度に関しても非常に造詣が深い、ロンドン大学キングスカレッジのPaul Matthews教授との会談記録 (2)Kenneth Reid=Hiroyuki Watanabe,"Principles of European Trust Law and Draft Directive on 'Protective Funds'"エジンバラ大学教授で,スコットランドにおける財産法・封建法の権威であり,欧州における統一信託法への動きのキーマンの一人であるKenneth Reid教授との会談記録 (3)Gabor Hamza=Hiroyuki Watanabe,"Recognition and Introduction of the Trust in Hungary and Russia from the view of Comparative Law"ローマ法研究の大家であり,80法域を超える比較法研究に取り組んでいる,ハンガリーのELTE Romai JogiTanszekのGabor Hamza教授との会談記録 本特集に掲載した記録はいずれも,この分野の研究における歴史的な記録としても有意義なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果として、すでに大学紀要においてこつの比較信託法特集を刊行している。また、昨年度は、この分野の研究者が世界から結集したカナダでのシンポジウムにおいて、研究代表者の渡辺がチェアマンの一人を務めた。さらに、政府による日本法英訳プロジェクトとによる信託法・信託業法の英訳を、本研究の成果とともに世界中の信託関係者に流布しており、国際的な情報発信と交流においても多大に寄与している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、信託および信託類似制度に関する法制の比較法研究を通じ、各国の私法に関する基本的な枠組みの理解と英米法のtrustに関する対応から見た法意識調査を展望したものである。また、欧州の周辺・辺境部分や各オフショア法域の法制・法意識を調査研究することで、様々な角度から「ヨーロッパ」の深層に根源的に迫ることを目的としている。それらの実現のため、欧州にとどまらない世界の大陸法諸国における"信託"の導入に関する議論や理論構成を通じた、「信託の本質とは何か」の議論を、欧州をはじめとした世界各国の研究者と英語にて同じ土俵で議論することを続けていく。
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Research Products
(5 results)