2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22402021
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
V・L カーペンター 弘前大学, 人文学部, 教授 (80142909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四宮 俊之 弘前大学, 人文学部, 教授 (80113801)
神田 健策 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10113705)
黄 孝春 弘前大学, 人文学部, 教授 (10234684)
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Keywords | 知的財産 / クラブ製 / りんご国際市場 / クラブ製 / 商標 / 特許 / ピンクレディー / スイートダンゴ |
Research Abstract |
この研究は、りんごを事例として農産物の生産販売における知的財産の活用に不可欠な育成者権と商標権の保護・運営に関わる諸課題を考察することである。また、商標権に基づく商標使用ライセンス契約等によっての一貫した新しい生産と販売の試みも検討する。 本年度に、アメリカ合衆国及び韓国で現地調査を行い、りんご産業、特に知的財産権を利用した新品種のりんごの栽培・流通の先進事例(クラブ制)の考察を中心に行った。具体的にはアメリカでは、早い段階で導入されてきた南半球のクラブ制りんごのピンクレディー(豪州)やジャズ(ニュージーランド)のライセンス・栽培・出荷・販売権が委託された業者を訪ね、クラブ制の問題点等を取材した。また、アメリカのミネソタ大学の付属試験所で開発された新品種スイートタンゴ(SweeTango)のクラブ制の実践を主導しているPepin Heights Orchardsを訪問し、生産・販売戦略と管理体制について聞き取り調査を行った。韓国では、ニュージーランドの新品種のエンヴィー(Envy)の権利をとって普及をはかっている業者NZ Orchardsを訪ね、その企画と実践を考察した。 得られた結論は次の2点である:(1)新品種の市場開発とそのクラブを保護・管理するには、充実した運営組織や運営費が必要となる。最適の生産量(過剰生産予防)や高品質を維持しなければ、プレミアム(高)価格の確保が難しい。(2)最近、北米市場にクラブ制りんごが続々と登場し、クラブに加入・投資する業者や生産者にとっての「生存競争」リスクが高まってきていることが判明された。 なお、今回の現地調査は上記2国のりんご産業及びクラブ制りんごの市場進出の現状について多くの情報を仕入れることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度には、りんごクラブ制の先端地域オーストラリア及びニュージーランドで、知的財産(特許・商標)の活用体制の発展を、23年度にはやや遅れてきた北米・アジア地域でのクラブ制りんごの導入と市場進出の現状を調査してきた。また、現地の聞き取り記録や収集した文献では、今年度の欧州(フランス・イタリア)調査と最終年度としての論文等の作成の土台となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年前半には、9月のヨーロッパ調査へ向けて資料や課題整理を行う。 9月には、クラブ制りんご間競争が一番激しいヨーロッパ市場の現地調査を行う。ピンクレディーの最大生産地であると同時に最大消費地でもあるフランスでは、国際ピンクレディー連盟ヨーロッパを訪ね、ピンクレディーの商標使用料、またその販売宣伝キャンペーンも実態を考察する。ヨーロッパ・ピンクレディー協会の関係者(種苗業者、農家、流通業者など)を中心にピンクレディーや他のクラブ制品種のブランド化プロセスについてヒアリング調査を行う。 10月以降は、研究成果を総括し、研究報告書を取りまとめる過程で所属学会にて報告を行い、成果の発信に注力するとともに、理論面での一層の精緻化を図る。またピンクレディー・システムの経験を日本の環境に照らし、青森県で会員制導入に向けた政策提言を行う。
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Research Products
(1 results)