2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の海外事業の競争力と経営業績に関する総合的な実証研究
Project/Area Number |
22402033
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黄 りん 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (40225363)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋元 理恵 北海商科大学, 商学部, 教授 (50434791)
松尾 睦 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (20268593)
|
Keywords | グローバル競争力 / グローバルSCM / 財務指標分析 / 組織学習プロセス / 新興市場 / 国際M&A / 地域ブランド / 日米欧企業 |
Research Abstract |
本研究は日本企業の競争力と海外事業の経営業績を実証的に分析することを同的としている。グローバル競争力を評価するための指標を開発し、日本企業がグローバル競争力の低下を説明する要因、さらに日本企業の海外事業の経営業積に影響し、日本企業の海外市場での競争力の基盤になっている要素を明らかにするために、今年度はつぎのように研究を実施し、研究の成果を諭文などに発表している。 1) 場と非上場企業の海外M&Aデータを収集して本研究の同的に沿ってデータベースを構築した。また、M&Aを行った企業の海外事業と現地法人の財務会計データベースを構築するために、各種資料を収集して整理した。2)先進国市場(北欧、米国)と中国市場における日本企業に関するフィールド調査を実施し、本研究の調査対象となる企業をリストアップした。日本企業の統括会社またはグループ中核となる現地法人を訪問し、面接調査を突施した。3)JETRO現地事務所の協力を得て日本企業の現地法人へのヒアリングを実施し、欧州危機のアジア企業の投資行動に対する影響に関する分析を行った。4)既存文献と資料を収集し、M&Aによる海外事業展開に関する理論研究と実証分析の研究蓄積を整理した。これと並行して企業の海外事業と経営業績に関する理論研究の研究成果を整理している。 アウトプットして、グローバルSCMの理論発展、M&Aによる海外事業の展開、チャネル政策と生産工程における組織学習プロセス、サービス業(特に地域ブランド)の分析などの研究成果を発表している。また、M&A企業の財務指標の動態分析を試みている。 中心的な結論としては、1)GSCNの概念を提示し、それをマネジメントするために必要なアジリティ(俊敏さ)、延期型システムと組み合わせの経済の三つの編成原理を整理している。2)暗黙知の標準化、PDCA活動、権限委譲のOJT、批判的コミュニケーションが職場の知識創造を活性化している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)当初計画では日本、中国、インドとEUに限定していたが、データ収集の努力により、G20及び主要新興国の約35か国における過去20年間の上場と非上場企業の海外M&Aに関するデータベースを完成した。 2)日本と中国の海外M&A実施企業に関する財務データペースを構築した。3)米国と欧州での共同研究ネットワークの形成と協力体制の構築を計画以上に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、海外M&Aを行った先進国企業の過去10年の財務データは100万セルを超えるため、財務データベースを拡張する際に、主要国間の比較が可能にするための対応策を検討し、分析可能なデータ構造にする。 米国・欧州(北欧、ドイツやフランスなど)でのヒアリング鯛査を実施し、現地の専門家と研究者とネットワークおよび協力体制をより強固なものにする。 BRICSに関するデータの整理を開始し、先進国との比較分析を行う。国・地域的要因、特定年度での事象による影響をコントロールして、この間での変化をもたらした要因とその因果関係を推測し、市場環境要因と企業能力要因の因果パスと影響度を定量的に検証する。 日本企業のグローバル競争力と経営業績に関する実証分析の研究成果を書物にまとめて出版し、研究成果として学会や専門雑誌において発表する。
|