2012 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティ・カルテ・システムによる社会的排除の動学的研究
Project/Area Number |
22402047
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
日下部 元雄 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋研究科, 教授 (70565762)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 貧困 / 社会的排除 / 社会的包摂 / 社会関係資本 / 国際情報交換 / イギリス / 生活支援戦略 |
Research Abstract |
本研究は、貧困問題を幼年期・学齢期・就労期などを通じ、社会的関係から排除されるリスクが累積的に拡大していく過程として捉え、それを定量的に分析することを目的としている。このような貧困の捉え方は、「社会的排除」アプローチと呼ばれ、フランス・英国などで定性的な研究が進められてきたが、リスクの連鎖を計量的に捉えた研究はこれまで無かった。 本研究は、コミュニティー・カルテ・システム(CCS)という情報収集・分析ツールを開発し、東京都、ロンドン市、リバプール市の三都市でそれぞれ600人程度のサンプルに対し、匿名で8つの福祉分野につき約80の質問を行い、多次元・時系列的なデータを収集し、それを基に社会疫学的な方法で貧困への負の連鎖を分析するものである。昨年度までに3都市でそれぞれ2回の調査を行い、当該年度には、これらのデータに基づき、負の連鎖を計量的に明らかにすること、及び、これらの研究成果の普及のためのセミナーを行なうことが主要な目的であった。 折から日本では、厚生労働省を中心に社会的排除の考え方を大幅に取り入れた「生活支援戦略」の導入が検討されており生活保護に陥る前に自立を図る政策が検討の途上にあり、幾つかのパイロット都市で実証実験が行なわれようとしていた。このため同省はCCSの方法論及びその結果に関心を持ち、24年4月には厚労省社会援護局の主催で講演会が行なわれ、同省の政策に取り入れられることとなった。また、25年2月には同省の主催で約60の自治体に対し、本調査についての研修を行なった。 また新戦略のパイロット都市の一つである東近江市においても新たな調査を行なうこととなり、25年3月までに市当局の全面的な協力を得て1回の調査で730の有効回答を得ることが出来た。 今後は、CCS調査を幾つかのパイロット都市で実施し、その結果を生活支援戦略の実施計画つくりに取り入れていくこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)