2011 Fiscal Year Annual Research Report
はやぶさ地球帰還時の大気圏再突入衝撃波による可聴下音波及び励起地震動の精密観測
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22403005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平松 良浩 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (80283092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 真行 高知工科大学, 環境学研究科, 准教授 (30368857)
古本 宗充 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (80109264)
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Keywords | はやぶさ / インフラサウンド / 地震動 / 大気-地表面カップリング / エネルギー伝搬係数 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に豪州にて取得した「はやぶさ」帰還時のインフラサウンド記録および地震記録、光学観測記録を用いて、(1)伝搬経路・波源解析とエネルギー推定、(2)表層の地震波速度構造の解析、(3)観測計器のキャリブレーション、を行った。 (1)伝搬経路・波源解析においては、インフラサウンド/地震計記録のアレイ解析により決定された到来方向ならびに光学観測結果から決定された「はやぶさ」の軌道情報および温度場を考慮した伝搬経路解析により、それぞれのアレイ観測点に到達した衝撃波の励起位置(波源)を推定した。その結果に基づき推定されたカプセル近傍での大気圧は、従来使用されている理論値と2倍程度のずれがあることが明らかとなった。伝搬経路・波源解析結果については、光学同時観測データを用いた後続励起源の比較も行い、高い精度で一致することを確認した。したがって、理論値とのずれは理論で用いられる仮定に問題があることを示しており、高層大気中での衝撃波励起を考える上で非常に重要な結果である。 (2)大気-地表面カップリング過程におけるエネルギー伝搬係数の推定には、アレイ観測点下の表層における地震波速度構造が重要である。そのため雑微動のH/Vスペクトルを用いインバージョン推定により表層の地震波速度を決定した。また、大気-地表面カップリング過程の定量化のため、大気圧変動と地動とのトランスファー関数を新しく定義し、上記の地震波速度構造により説明可能であることを確認した。 (3)観測計器のキャリブレーションとして、九州の桜島噴火に伴う空振を利用して、豪州で用いたインフラサウンドセンサについて他機関の計測機器との比較実験を行った。 上記の結果について、学術雑誌への発表6件(査読有4件)、国際会議2件・国内会議6件の学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.アレイ解析による到来方向決定、伝搬経路解析による波源決定は、光学記録との比較から見ても精度良く行われていること。2.インフラサウンド計測の絶対値から衝撃波源のエネルギー(圧力)の推定を行い、理論式導出時の仮定の問題を明らかにしたこと。3.大気-地表面カップリングを表す新パラメータを導入し、観測値を説明可能であることを示したこと。4.火山噴火に伴う空振を用いた観測計器のキャリブレーションを行っていること。5.上記1~3の結果について学術論文に公表したこと。
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Strategy for Future Research Activity |
1,大気-地表面カップリング過程を定量的に評価するために、周波数毎の気圧と地動振幅のインピーダンスを求め、エネルギー伝搬係数を決定する。また、大気-弾性体の波動伝播のシミュレーションを行い、観測記録との比較を行う。 2.過去に本研究チームで解析を行った神戸火球、宮古火球、関東火球(Ishihara et al., 2003; 2004)に上記の結果を適用し、「はやぶさ」帰還時のデータを用いてReVelle(1976)の理論式の修正を行った上で、流星物質のサイズ(直径)の推定を行う。
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Research Products
(16 results)