2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・アフリカ地域における沿岸災害脆弱性変容の調査
Project/Area Number |
22404011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴山 知也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40143391)
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Keywords | 津波 / 高潮 / 途上国 / 沿岸災害 / 被災機構 |
Research Abstract |
本研究は世界各地の沿岸域災害の変化機構とそれへの有効な対策を考案することを目的としている。2010年にはチリ地震津波とインドネシア・スマトラ島沖地震津波(メンタワイ諸島)が発生したため、これらの津波調査を行い、災害の機構に関して多くのデータを取得した。チリにおける津波災害に関しては現地調査と沿岸の海底地形に注目した津波挙動の分析を行い,その被災実態を明らかにした.チリでは,沿岸域の陸棚上や湾内にトラップされた津波が,場所によっては4時間以上の長時間にわたって何度も襲ってきた.津波の浸水高さは広い範囲で4-10m程度であり,遡上高さは最大で20mを超えていることが分かった.これらの津波の規模は,2004年インド洋津波でのスリランカ南部での津波の規模に匹敵するが,スリランカでは死亡者の数が3万人以上にのぼるのに対し,チリでは数百人程度に抑えられていた.この理由としては,(1)地震の規模が大きく,揺れが大きかったため,住民にとって具体的に津波の来襲を感じることができたこと(2)1960年チリ地震津波,2004年インド洋津波を契機として,住民の間に津波に関する知識が広く行き渡っており,多くの住民が高台に避難したことの二つがある。次に、インドネシアのメンタワイ島での調査について述べる。シポラ島では最大7.15mの津波が沿岸部を襲い、いくつかの集落の沿岸域が大きな被害を受けた。津波は集落を流れる小河川沿いに侵入した場合と、沿岸のマングローブ林を通過して集落内に侵入した場合があった。一方で、津波・高潮災害調査の経験を持つカナダとイランの研究者を日本に招聘し、被害の状況、復興のプロセスについての共同研究を実施した。また、Coastal Engineering Conference(ICCE)等で研究発表と情報収集を行った。
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Research Products
(5 results)