2012 Fiscal Year Annual Research Report
経済的利用により劣化した中国希少食肉目個体群の復元技術の開発
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22405003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
金子 弥生 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60413134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 隆一 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192748)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生態系修復・整備 / 生態学 / 環境政策 / 動物 / 進化 |
Research Abstract |
野生動物の貿易は、麻薬や兵器に匹敵する国際密輸問題であり、その取引は総額100億USドル/年にのぼる。中国雲南省のCangyuan自然保護区は、ミャンマーとの国境の熱帯地域に位置し、生物多様性が高く豊富な哺乳動物相を有するが、国境という地域の特殊性により、野生動物の密猟や密輸が生じている。広東省の広州市は中国で三番目に大きな都市であり、野生動物を食料として利用する習慣があることが知られている. 2011年10月から12月にかけて、これら2地域における野生動物の経済的利用現状を明らかする目的で、地元警察や野生動物調査機関への聞き取り、野生動物市場の訪問を行った。その結果、国境保護区内に密猟した動物を売買するルートが存在すること、野生動物の肉は地元のみでなく広州にまで流通しており、広州には雲南省を含む周辺広域地域から密猟した野生動物肉が集まる闇市場が存在することが明らかとなった。また、野生動物肉の値段は、保護区内での売値と比較し広州市場での売値として、最大6倍に上がる(ハクビシン)ことが明らかになった。10月の時点での市場の中大型哺乳類の取引動物数は約500頭/日であった。これらの問題が生じている背景として、聞き取り回答者は、保護区の生態系保護の方針が地域の経済的発展を抑えているために、暴利をむさぼる密猟が生じるととらえられていた。解決すべき問題点として、密猟に代わる収入減を開発するための資金や知識が不足していること、国境地域での密猟関連法の整備の遅れ、保護区内や動物についてのデータが古く、現在の動物の生息現状が把握できないことが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2012年は、野生動物の経済的利用(野生動物市場や保護区での密猟)についての調査がうまくすすみ、さらにそれらを国内学会と国際学会にて発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、助成期間の最終年度にあたるため、成果発表を主に行う。 国際学会(国際哺乳類学会、食性と野生動物市場)において口頭発表を行う。また、学術雑誌への投稿(食性、環境選択、種子分散、漢方薬利用)についてはそれぞれ論文を作成する。遺伝子分析についてはデータを調査地域内外から広く集めて地域間比較を行う。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Genetic population structure of the masked palm civet Paguma larvata, (Carnivora: Viverridae) in Japan, revealed from analysis of newly identified compound microsatellites2012
Author(s)
Inoue, T., Kaneko, Y., Yamazaki, K., Anezaki, T., Yachimori, S., Ochiai, K., Lin, L.K., Pei, K.J.C., Chen, Y.J., Chang, S.W., and Masuda, R.
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Journal Title
Conservation Genetics
Volume: 13
Pages: 1095-1107
Peer Reviewed
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[Presentation] Economic exploitation of badgers in Japan, southern China, and South Korea2013
Author(s)
Kaneko, Y., Zhou, Y., Han, S., Chen, J., Zeng, Y., Zhang, M., Lo, Y., Lau, M., Newman, C., Buesching, C., Macdonald, D. W.
Organizer
Wild Musteloid Conference
Place of Presentation
University of Oxford, UK
Year and Date
20130318-20130321
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