2011 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ林の保全と再生に必要な遺伝的多様性の全球的解析
Project/Area Number |
22405005
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
梶田 忠 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80301117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 教授 (80114544)
|
Keywords | マングローブ / 遺伝的多様性 / 保全遺伝学 / オヒルギ / マイクロサテライト / ハマザクロ / 国際研究者交流 / 多国籍 |
Research Abstract |
全世界の熱帯・亜熱帯の海岸域に広がるマングローブ林は極めて多岐にわたる生態的機能を有するため、代替不可能な貴重な生態系として知られているが、近年、急速に失われつつある。保全と再生のための活動が各国で始まってはいるが、科学的基盤情報である遺伝的多様性は、十分に把握されていない。そこで、本研究では、マングローブ林主要構成種の遺伝的多様性と地理的構造を、統一的な研究方法を用いて全球レベルで把握することを目的としている。得られた結果を解析・評価することで、マングローブ林の保全・再生指針を科学的な根拠に基づいて策定することができる。本年度実施した主な研究活動は以下の通り。 1.海外調査:フィリピン(6月)、マレーシア(サバ)(7月)、マレーシア(半島部)(12月)、パラオ(12月)、ミャンマー(1月)、シンガポール(2-3月)、セーシェル(2月:研究協力者・高山浩司(ウィーン大)による)で現地調査および海外共同研究を実施した。それぞれの地域で、Rhizophora属、Bruguiera属、Xylocarpus属、Sonneratia属、Acrostichum属等のマングローブ植物の集団サンプリングを行い、総計千数百点のサンプルを採集した。 2.マイクロサテライトマーカーの開発と遺伝的多様性解析:アジアのマングローブ林主要構成樹種5種を対象に、次世代シーケンサを用いたマイクロサテライトマーカーの開発を行った。ハマザクロ(Sonneratia alba)については、論文発表を行った。また、オヒルギについては、これまでに開発したマイクロサテライトマーカーと葉緑体マーカーを用いて、インド洋-太平洋地域における遺伝構造を解析した。その結果、従来知られていたマレー半島を障壁とした明瞭な地理的構造以外に、インド洋、太平洋のそれぞれで明瞭な地理的構造の存在が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度には、日本学術振興会が実施する若手研究者招聰事業の助成を受け、「マングローブの遺伝的多様性保全のための東南アジア若手研究者ネットワークの強化」と題した国際交流事業を実施し、アジア地域のマングローブ保有国9力国と緊密な共同研究体制を構築できた。その結果、本科学研究費による海外現地調査および遺伝マーカーの開発実験を、当初の計画以上に推進することができた(論文1報を発表済み)。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度には、上記若手研究者招聰事業による共同研究体制を最大限に利用して効率的に調査を実施するために、当初予定していたインドネシアの調査をとりやめ、マレーシア、ミャンマー等の地域で現地調査を行った。今年度とりやめたインドネシアの調査については、平成23年に上記招聰事業で日本に招聰したインドネシアの研究者3名の協力を受け、平成24年度に実施する準備が整いつつある。
|
Research Products
(7 results)