2011 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ被災地をモデルとした原発解体作業に伴う被ばく影響の基礎的研究
Project/Area Number |
22406019
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
木村 真三 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (50321849)
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Keywords | チェルノブイリ / 放射線影響 / 晩発性 / 汚染地域 / 被ガンリスク |
Research Abstract |
ジトーミル州ナロージチ地区における'83、'88、'93、'97、'98、'99、'03、'08年の有病者数、罹患者数を国際疾病分類表(ICD-10)の中分類、小分類にカテゴリー分けしたデータを医学統計学の専門家によって解析を行った。成人について検定をおこなった結果、1.データの不安定性(信頼性)。集め方と評価のしかたの問題、2.資料には、ある程度の真実は含まれているし、我々は乱このデータから、状況を判断するしかない。3.そこで、年度変化の重心(平均)おおよその信頼を置いて、検定を行った結果、 損傷,中毒およびその他の外因の影響SOO-T98p=0.0406、呼吸器系の疾患JOO-J99p=0.0036、妊娠,分娩および産褥O00-99(単胎自然分娩080を除く)p=0.0183の3項目に有意の差がある。(他の項目は有意差を認められず。) 但し、呼吸器系の疾患のみは、ゾーン4が他のゾーンより有意に多い。残りの2項目は、ゾーン2または3がゾーン4より有意に多いことが明らかになった(ゾーン別の空間線量は、ゾーン2>ゾーン3>ゾーン4)。更なる高精度化を図るため、衛生学、循環器内科学、免疫学、産科学、薬理学、物理学、数学の専門家を集めて全体会議を行った。現地の共同研究先であるジトーミル国立農業エコロジー大学がまとめた'91年~'04年の土壌汚染のレベルおよび被ばく線量推定値(外部・内部被ばくの総被ばく線量)を計算し、ナロージチの村々の汚染レベルを比較した。土壌汚染と被ばく線量には、おおよその相関関係が認められたが、近年、総被ばく線量が上昇、あるいは、一部の地域で総被ばく量がゾーン2とゾーン3で逆転している場合が発見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原発事故の環境影響および人体影響を緊急で行うために、本調査が遅れている。さらに、国内の放射能測定機器は、本事故により優先的に使用されているため、調査内容を変更せざるを得ない状況も生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
半減期の短い事故当時のヨウ素131の検出は、加速器質量分析装置を用いて行う予定であったが、福島第一原発事故により、マシンタイムに空きがない状態である。そこで、今回はヨウ素の影響を除くことができる事故から数年経過したとき生まれた子どもたちに対して、内部被ばくはホールボディーカウンターを用い、外部被ばく線量は汚染土壌から同定する。
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Research Products
(2 results)