2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500076
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 幹 関西大学, システム理工学部, 教授 (30210561)
|
Keywords | P2P / トラヒック / 輻輳制 / ストリーミングP2P / 公平性 |
Research Abstract |
P2Pトラヒックの増大は、現在のネットワークオペレーションにおける重要な技術課題となっており、ユーザのコスト負担の問題からネットワーク中立性の議論を引き起こしている。本研究は、「P2Pにおいてユーザの公平性を実現するトラヒック制御を実現できないか?」というユ-ザの公平なコスト負担に向けた重要な技術課題に対し、ユーザ側P2Pシステムのトラヒック制御によるいくつかの可能性を探るものである。本研究では、P2Pトラヒックをネットワーク側で規制するのではなく、ユーザ側のP2Pシステム側が公平性を実現するべくトラヒック制御に積極的に関与する方向性を探ることを目的としている。本年度は以下の成果を得ている。 ・ストリーミング型P2Pの公平性改善手法の詳細検討 ストリーミング型P2Pにおいては、先行して再生が進んでいるピアにダウンロード負荷が集中しやすい傾向がある。これを改善する手法として本課題の初年度より取り組んでいる再生タイミングの近いピアをオーバーレイネットワークにおける接続対象とする手法について、仕様の詳細検討を行った。 ・ストリーミング型P2Pの公平性改善手法の評価 上記提案手法について、本課題で開発した評価シミュレータによる評価を行い、提案方式を用いない場合には再生が先行しているピアにダウンロード負荷が集中するのに対し、提案方式によりダウンロード負荷が各ピアに分散され、公平性が大きく改善されることを示した。 ・トラヒック制御 昨年度より進めている、P2Pにおけるトラヒック制御の詳細検討を行った。 またトラヒック制御に関する研究として、動作OSの違いにおける輻輳制御がもたらす性能差を改善する手法、データセンターなど高速ネットワーク環境でのトラヒック制御、の開発を行いその有効性を本課題で開発した計算機シミュレータにより評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、P2Pにおける公平性を考慮したピア選択、ならびにP2Pに適したトラヒック制御については順調に研究を進展させている。また、これらとは別に、P2Pのベースとなるコンテンツ配信におけるトラヒック制御に関する成果も得ていることから、当初の計画以上に進展していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本課題の最終年度であり、研究全体を総括するために、以下の方針で進める予定である。 ・ストリーミング型P2Pの公平性改善手法については、評価内容を精査し、広く研究成果を公表するために学会発表を積極的に行う予定である。 ・P2Pトラヒック制御については、現在検討している方式に対し、評価シミュレータを開発したうえでその有効性を検証し、学会発表を行う予定である。 ・コンテンツ配信系トラヒック制御については、ワイヤレス環境にその評価対象を広げ、さらに検討を進める方針である。また、データセンタにおけるトラヒック制御について、エンドエンドアプローチによる方式検討を行う。
|
Research Products
(6 results)