2011 Fiscal Year Annual Research Report
生きた顔とそれに誘発される脳反応のデータベース-キメラ顔による脳機能の解明-
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22500092
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 邦彦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (50274494)
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Keywords | 空間データベース / 画像データベース / データベース並列処理 / 並列画像処理 / 全方向画像データベース |
Research Abstract |
本年度創出した新しい技術の概要は以下の通りである. 1.空間データベースに関する新技術 従来,顔などの3次元物体の表面は,ポリゴンと呼ばれる多角形で近似されてきた.本年は,2次元平面上のポリゴン集合の取り扱いについて研究を進めた.ポリゴン集合が「ドロネー三角形分割」と呼ばれる特別な種類のポリゴン集合に一致するとき,ポリゴン集合のデータ構造は,点集合に簡素化できることが従来分かっていた.一方で,輪郭線(ポリゴンとは違い,目や鼻や耳などの領域の輪郭を表現する折れ線)が,ある特別な条件を満足するとき,その輪郭線が,ドロネー三角形分割を利用して,点集合に帰着できることを見出した.これで,輪郭線のデータベースのデータ構造の簡素化と,演算の高速化の可能性を見出した. 2.画像データベース並列処理 顔画像などの画像をビデオカメラで撮影する(例えば,顔の全方向を取り囲むように動くカメラからの撮影などの状況を想定している)とき,多数のビデオフレームデータが生み出され,並列処理を必要とする.並列処理のためのhadoopシステムは,ベクトル集合のような,単純な構造を持つデータに適することは従来から報告されてきたが,ビデオフレームデータのように順序関係のあるデータ(順序関係のあるデータは,複数の集合間の2部グラフに帰着できる)の取り扱い技術は未踏である.本年,ビデオフレームデータをhadoopで取り扱う実システムを構築し,並列処理による速度向上を達成できた. 3.全方向画像データベース 顔などの物体を全方向から撮影するとき,大量の画像データが発生する.極座標を基礎として全方向画像データを,数十個のビデオデータとして構成することで,高速な表示ができ,取り扱いも簡便になることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初懸念していた「顔画像データベース」の構築における顔画像の撮影については,近年の全方向画像撮影装置の普及により,研究上,問題視する必要がなくなった.一方で,「研究実績の概要」で述べた通り,空間データベースの核となる技術について,当初の見込み以上の進展が得られた.一方で,そのために,脳機能の解明に役立つ「脳反応のデータベース」については,データベースの新技術の創出には至っておらず,今後の進展を要する.
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Strategy for Future Research Activity |
「脳反応のデータベース」については,単に脳反応の電気信号などをデータベースシステムに格納(つまり,リレーショナルデータモデルなどのデータベースモデルにマッピングするのみ)では,脳反応データベースの構築はできても,データベースの新技術の創出につながらないことを懸念している.そこで,生きた顔を撮影した画像データベースの並列処理方式,ファイル構成方式,画像と顔のもつ意味のリンク付け,というデータベースの核となる技術分野に注力し,独自性のある成果を創出していくように注力したい.
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Research Products
(4 results)