2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500171
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
市村 直幸 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50356466)
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Keywords | 画像 / ハイパフォーマンス・コンピューティング |
Research Abstract |
本研究では、物体認識に必要な特徴抽出および画像の対応付けに関する研究開発を進めている。昨年度は、特徴抽出に関しては3つの事柄に注力した。1つめは、特徴抽出のスケーラビリティの検証である。方向マップと呼ばれるデータ構造を導入することにより、特徴抽出において並列処理に適した局所演算が使用可能となり、計算速度が向上することを明らかにしていた。その一方で、方向マップを用いる方法の特徴数に対する計算時間の増加の度合い、つまり実用上重要となる特徴数に対する計算時間のスケーラビリティに関する検討を行っていなかった。昨年度検討を行った結果、従来の方法と比較し、提案方法は特徴数に対する計算時間の増加が非常に少ないことを確認した。成果は国際会議に投稿し、採録が決定している。2つめは、そのスケーラビリティを活用し、1つの特徴点を中心に複数の空間的範囲で特徴量を計算する多重サイズ局所記述子を提案し、その計算効率を評価することである。結果として、一特徴につき10以上の空間的範囲を使用しても、低解像度画像ではリアルタイム処理が可能であることを示すことができた。成果は国際会議で発表済みである。3つめは、特徴抽出ソフトの全面的な刷新である。並列処理言語においてC++の機能が強化されたことに伴い刷新を進め、未了ではあるが、現段階でもソフトの今後の拡張性や保守性が大きく向上している。 画像の対応付けに関しては、並列処理と親和性の高い方法に関する基礎的な検討を行った。基本的に、特徴量の対応付けでは、特徴量間の距離計算の並列性が高く、また、汎用性も高く、学習も容易であることから、最近傍法が有用との考えに至っている。ただし、本研究では特徴抽出が高速かつスケーラビリティを有することから、最低でも数千~数百万個程度の特徴量間の対応付けを考える必要がある。その場合、並列処理を利用しても、枚挙的な距離計算を行う最近傍法では高速な処理を実現することは困難である。よって、従来から検討されている近似最近傍法への並列処理の導入に関する検討を行った。具体的には、hashing、ベクトル量子化に基づく方法を検討した。hashingとベクトル量子化では、それらで必要とされる射影計算や距離計算の並列性が高いからである。今年度は、hashingに基づく方法として、random fern、random projection、半教師あり主成分分析に基づく方法を実装し、その計算速度やメモリ容量、精度に関する考察を行った。最も大きな問題は、どの方法でも、out of sample extension、すなわち、あらかじめ与えられたデータ以外のデータに対して適切なコードの割り当てが可能かどうかが問題となった。事前にあるターゲットの特徴量を集め、hash table等構成し、特徴量に対しコンパクトなコードを割り当てる。入力画像から得られた特徴量と比較する場合、入力画像の特徴量対してもコードを割り当てるが、特徴量とコードの関係を構築する際に使用されていない特徴量であるため、適切なコードが割り当てられず、結果としてコードを用いて距離計算を行っても正しい対応が得られない例が数多く見受けられた。この点を改善することが、今後の課題となる。また、どの方法でも計算時間が遅いこと、メモリ容量が多いことも問題であるので、ベクトル量子化に基づく方法と共に、この点も検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は本来、特徴抽出よりも対応付けをより中心に研究を進める予定であったが、実際には特徴抽出のスケーラビリティや多重サイズ局所記述子の構成、ソフトの刷新等に時間をとられてしまった。しかし、対応付けに関する基礎的な検討も進み、また、対応付けの高速化は特徴抽出が高速に行えることを前提としていることから、全体の進展としてはおおむね順調であると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対応付け、そして、それに基づく物体位置検出を中心に研究開発を進めていく予定である。特に、hashingとベクトル量子化に基づく対応付け方法に注力したいと考えている。ただ、特徴抽出部分にもソフトの刷新を含めまだ改善すべき点があるため、今後も特徴抽出と対応付けのバランスをとりつつ研究開発を進める予定である。
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Research Products
(4 results)