2011 Fiscal Year Annual Research Report
画像の種類・劣化要因と視覚的に知覚できる劣化限界の関連性について
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22500191
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
田口 亮 東京都市大学, 工学部, 教授 (40216825)
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Keywords | 劣化知覚閾値 / 主観評価 / 事象関連電位 / PSNR / コントラスト変換 / 平均階調値 |
Research Abstract |
画像機器開発や画像処理/符号化方式の開発において、画像評価法は不可欠である。これまで用いられてきた画質評価のための客観評価値はPSNR(Peak Signal to Noise Ratio)であるが、例えば同じPSNR値であっても画像が異なると視覚的には同じ画質とは判断できない。現状ではPSNRは画質評価の参考になるが、視覚的な意味で絶対的な評価と成り得ない。本研究では、画像の種類や劣化の種類によって、主観評価を基準とした場合にPSNRがどの程度揺らぐかを明らかにすることが目的となる。そのために視覚的に劣化を感じる限界である劣化知覚閾値DPT(Deterioration Perception Threshold)をPSNRで定義し、主観評価実験により画像の種類や劣化の種類を変化させてDPTを求める。DPTは主観評価の基準となるPSNRであるから、画像の種類や劣化の種類とDPTの関係を明らかにすれば、目的が達する。 平成23年度も劣化要因をガウス性加法雑音に限定して、画像のエッジ量とDPTとの関連性を調査・検討した。その結果、特定の画像条件(サイズ、平均輝度値)に対して、エッジ量とDPTとの相関を定式化することができた。並行して、DPT付近のPSNR値を持つ劣化画像を低頻度刺激とするオドボール課題によって生じる脳波(事象関連電位:ERP)の波形特徴であるP300の潜時とピークの高さと被験者に呈示する劣化画像の劣化度(PSNR値)との相関を調査した。その結果、呈示する画像のPSNR値と潜時およびピークの高さそれぞれに線形的な関係を見出した。さらに、ヒトの主観的な判断をP300の潜時またはピークの高さから判断することができることを明らかにすることで、P300波形特徴によって主観評価の定量化が可能であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最も大きな目的は劣化知覚閾値(DPT)の定義づけとその実測法の開発にあったが、その点は完全にクリアしている。次に、DPTと相関のある画像特徴量を見出し、その特徴量からDPTの推定を行うことが次の目的であったが、これも、「エッジ量」という画像特徴量を見出すことでクリアしている。 並行して、画像の劣化度に対するヒトの定量判定をオドボール課題における事象関連電位:P300の波形特徴を用いて行うことが可能であるかを実験・検討し、その可能性を示すに至った。 以上、これまでの研究の達成度は「おおむね順調」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、画像サイズ(解像度)が512×512画素、平均輝度値がほぼ128(8ビット画像)である多種多様な画像に対して、画像のエッジ量とDPTとの相関性を明らかにし、その関係を定式化した。画像サイズや画像の平均輝度値がこれら条件に当てはまらない場合に、これまで求めたエッジ量とDPTとの関係を使うことができるか否かは重要な問題である。仮に使えない場合は、種々の条件に対してエッジ量とDPTとの関係を予め調査する必要が生じる。そこで、今後は画像サイズや画像の平均輝度値の変動がエッジ量とDPTとの関係に影響を与えるか否かを検討する。具体的には、これまで用いてきた画像群に対して理想的に画像サイズを256×256画素に縮小とした場合と、γ変換により画像の平均輝度値を高め、低めに変化させた場合、それぞれに対してDPTを主観評価実験で求める。その結果からDPTとエッジ量との関係を求め、これまで求められている関係と比較する。
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Research Products
(5 results)