2011 Fiscal Year Annual Research Report
結合カオス回路網の特性調査とその情報処理ネットワークへの応用に関する研究
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22500203
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
西尾 芳文 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (80253227)
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Keywords | 非線形回路 / カオス / 複雑系 / 時空カオス / ニューラルネットワーク / カオス同期 / カオス工学 |
Research Abstract |
本研究では、多様な時空間パターンを発生する大規模な結合カオス回路網を構築し、回路実験・計算機による数値シミュレーション・理論解析を通して、大規模結合カオス回路網に発生する「位相同期パターンの時空間特性の調査」,「位相同期パターンの時空・周波数特性の調査」,「位相同期パターンの外部入力応答特性の調査」を行い、さらに、大規模結合カオス回路網の「位相同期パターンの複雑な振る舞いを有効に利用した情報処理ネットワークの設計」を行うことを目的としている。 本年度に得られた主たる成果は以下の通りである。 1.回路シミニレータを利用した結合振動回路の安定性の解析アルゴリズムの開発 本研究で対象とする大規模な非線形回路ネットワークの周波数応答特性は、通常、多数のピークをもち、さらには、系の非線形性の強さによっては不安定領域を含むことがある。本研究では、フロケの定理を満たすサブサーキットを作成し、回路シミュレータで過渡解析を行うことにより、容易に同期状態の安定性を判定することができるアルゴリズムを開発した。 2.パラメータ変動を含むカオス発生電子回路の結合系に見られる分岐現象の解析 回路に含まれる素子の値が周期的に変動するようなカオス発生電子回路を結合したシステムに発生する複雑な分岐現象の調査を行った。周期解の固有値を数値的に計算し、分岐条件を詳細に調べることにより、本回路モデルに発生する特有な分岐現象が、パラメータ変動を含む簡単な数学的離散写像モデルの結合系に発生する現象と深い関連があることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間を経過した段階で、研究目的に記載していた3年分の内容のおおむね3分の2を達成しており、かつ、それらの成果を着実に発表してきていることから、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終ステージとして、結合カオス回路網の応用についての研究を行う。特に、計画を上回る成果を挙げるための方策として、関連する研究を行う著名な海外研究者とコンタクトをとり、本研究成果の発展方法についてのディスカッションを行うことを計画している。一方、研究目的を達成する上での問題点については、現時点では特に見当たらない。
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