2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500249
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
関 陽子 科学警察研究所, 法科学第四部, 部付主任研究官 (10356157)
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Keywords | 筆跡鑑定 / 認知科学 / 注視点解析 / 法科学 / 署名 |
Research Abstract |
筆跡鑑定の目的で筆跡を観察しているときの注視点を解析することにより、鑑定人が用いる方略を明らかにすることを目的として研究を行った。平成22年度は、機材整備と実験時に被験者に提示する試料の選定および試料の特徴の解析を行った。文献調査の結果、使用する文字数や観察箇所の多さなどの点から、署名を提示試料に用いることが有効であることがわかった。そこで、文字の形状以外に配字にも個人特徴が現れるかどうかを検討した。苗字と名前がそれぞれ漢字2文字で構成される氏名を持つ男性112名に、自分の氏名と、苗字と名前が2文字で構成される架空の氏名を、同じ規格の記載欄に10回ずつ記載させ、各署名について文字間距離を測定した。各文字間距離について本名の個人内変動と個人差、架空の名前の個人内変動と個人差、本名と架空の名前の個人内変動の検定を行った。その結果、すべての文字間距離は、本名においても架空の名前においても、個人内の差は有意味ではなかったが、個人差は有意味であった。また、苗字と名前の間のスペースは、本名においては他の文字間より有意に大きかった。しかし、架空の名前の場合は、差は有意味ではなかった。一方、文字間の距離を同一被験者内の本名と架空の名前で比較した結果、記載欄の左端と最初の文字の間、1文字目と2文字目の間の距離は、本名と架空の名前の間の差が有意ではなかった。これらから、本名であっても架空の名前であっても、苗字の文字の記載位置は同一個人ではほぼ同じ位置であり、配字にも筆者の特徴が現れることがわかった。
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