2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福嶋 雅夫 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30089114)
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Keywords | 相補性 / 最適化問題 / 均衡問題 / ゲーム理論 / 変分不等式 / 確率的相補性問題 / 均衡制約付き最適化問題 |
Research Abstract |
相補性は最適化問題の最適性条件やさまざまな均衡問題の定式化において本質的に重要な役割を果たすものであり,最適化・数理計画における最も基本的な概念のひとつである.本研究は,相補性とそれに関連する変分不等式など各種の均衡問題・最適化問題に対して堅固な理論的基盤に立脚した実用的な手法を開発することにより,最適化理論の応用領域の拡大に寄与することを目指している. 平成23年度に得た研究成果は以下のとおりである. (1)固有値相補性問題に対する手法の研究.海外共同研究者のJ.J.Judice(ポルトガル・Coimbra大学教授)と連携して,非対称行列を含む固有値相補性問題について研究を進めている.特に,この問題を変分不等式問題に再定式化したうえで,さらに後者の問題に対して研究代表者が以前提案した変分不等式問題に対する正則化ギャップ関数などのいわゆるメリット関数を用いて,問題を最適化問題として定式化することにより,様々な最適化手法が適用可能となることを示した.この結果をまとめた論文を論文誌に投稿した. (2)確率的相補性問題に対する研究.大学院生との共同研究により,数理ファイナンスにおける興味深い問題であるアメリカン・オプションの評価法を確率的相補性問題として定式化し,それに対して本申請者らが近年提案した期待残差最小化法を用いるアプローチを与えた.この成果は学術論文誌に投稿し,出版された. (3)錐相補性問題とそれに関連する問題に対する手法の開発;不確実性下でのロバスト均衡問題を半正定値相補性問題として定式化することにより,既存の手法を用いて解を得ることができることを示した.この結果をまとめた論文を論文誌に投稿した. (4)一般化ナッシュ均衡の計算と応用:一般化ナッシュ均衡問題の新しい均衡解の概念を提案し,論文誌に発表した.さらに,一般化ナッシュ均衡問題のすべての均衡解を計算するアルゴリズムを開発し,論文誌に発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の23年度の研究実施計画にあげた4つの項目のうち,(2)一般的な変分不等式二b台に対する手法の開発については当初の予定を達成できなかった.しかし,(4)一般化ナッシュ均衡の計算と応用については当初の計画を上回る成果が得られた.特に,一般化ナッシュ均衡における新しい均衡概念を提案した論文は当該分野の研究者からも注目され,出版後1年未満にも拘らず,すでに被引用件数は18件にのぼっている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで概ね順調に研究が実施されており,今後もこれまでと同様,海外研究協力者・大学院生らと協力して,着実に研究を遂行していきたい.
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