2010 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ幼虫の連合学習中枢であるキノコ体における嗅覚情報処理の解明
Project/Area Number |
22500287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 リリア (中川 リリア) 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特任研究員 (80300888)
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Keywords | 脳神経 / 学習 / 記憶 / 嗅覚 / キノコ体 / ショウジョウバエ / カルシウムイメージング / 神経回路 |
Research Abstract |
研究の目的: ショウジョウバエのキノコ体は嗅覚連合学習に必須な脳中枢である。私はカリックスに糸球体構造が存在することを発見し、34個の糸球体を同定し、嗅覚系の二次神経細胞はステレオティピックにカリックスに入力することが分かり、一方個々のキノコ体神経細胞は約6個のカリックス糸球体にランダムに樹状突起末端を持つことを明らかにした。そこでカリックスの嗅覚情報処理の原理を理解するため、触角葉の感覚地図を作成し、さらに、単一投射神経細胞をGFP標識して、カリックス糸球体の感覚地図を作製した。本年度では、幼虫キノコ体の神経解剖学的解析を行い、カリックスの神経回路構築モデルを提案することと、キノコ体神経細胞の機能イメージングの系を確立することを目的とした。 研究成果: 1)キノコ体神経細胞(ケニオン細胞)の匂い刺激によるカルシウームイメージング用の予備実験に成功した。カルシウムセンサー(G-CaMP)を導入したハエ系統の幼虫に匂いを与え、カリックスにおける活性を可視化した。2)数千個のGAL4系統を用いて、キノコ体に発現が見られる数十個の系統を選別し、さらに脳内の投射様式の詳細な解析を行った。 結果と意義: 1)ケニオン細胞の匂い応答性は弱いと報告されているが、確立した系では強い匂い応答性を記録する事が可能になった。幼虫脳では始めて成功し、この予備実験によって、より詳細な匂い応答実験が可能になった。2)キノコ体の情報処理機構はまだ不明な点が多く、今回選別したGAL4ハエ系統の解剖学的、及び機能的な役割を解析することによって、キノコ体の入力情報処理機構に新たな知見が得られる事と連合学習の細胞学的基盤が明らかになることが期待される。
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Research Products
(3 results)