2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンとシュワン細胞の相互作用に着目した、末梢神経変性・再生の機構解析
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22500324
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
三五 一憲 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (50291943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 和彦 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (30240477)
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Keywords | 不死化シュワン細胞株 / 脊髄後根神経節細胞 / PC12細胞 / 共培養 / 髄鞘形成 / 糖尿病性神経障害 / 軸索変性・再生 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
我々はニューロン、シュワン細胞の各培養系ならびに両者の共培養系を用いて、軸索変性・再生、髄鞘形成・脱髄等に関与する諸因子の解析を進めている。本年度の研究成果として、1)神経再生促進因子galectin-1がGDNF依存性小型後根神経節(DRG)ニューロンに強く発現していること(Sango et al,Basic Principles of Peripheral Nerve Disorders,2012)、GDNFの神経突起伸長促進作用にgalectin-1の発現誘導が関与することを明らかにした(Sango et al,in preparation)。2)成熟ラット末梢神経の初代培養系から樹立したシュワン細胞株IFRS(immortalized Fischerrat Schwalln cells)1は、成熟シュワン細胞としての特性を保持しており、DRGニューロンとの共培養で髄鞘形成がみられた(Sango et al,J Neurosci Res,2011)。3)高グルコース負荷IFRS1細胞における糖化関連タンパクgalectin-3、RAGEの発現誘導を明らかにし、糖尿病性神経障害研究モデルとしての有用性を示した(Sango et al,Exp Diabetes Res,2011)。4)IFRS1を用いて、抗不整脈薬アミオダロンによるオートファジー・脱髄誘導の機序を解析中である(来年度日本神経学会にて発表予定)-。5)IFRS1とPC12細胞との共培養系を確立し、髄鞘形成を確認した(Sango et al,Histochem Cell Biol,2012)。株化細胞同士による共培養系の確立はほとんど前例がなく、ニューロン、シュワン細胞のクロストークを効率よく安定して解析する上で極めて重要なツールと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不死化シュワン細胞株IFRS1を用いた研究が進展し、株化ニューロンであるPC12との共培養系が確立できた。galectin-1の発現調節・作用機構、糖尿病性神経障害や脱髄モデルの確立・解析に関しても、着実に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)GDNFの神経突起伸長促進機構にgalectin-1が関与することを明らかにするため、galectin-1ノックアウトマウスを九州大学生体医学研究所より搬入し、DRGニューロンの初代培養を予定している。2)PC12-IFRS1共培養系を用いて、神経栄養因子、Rho kinase阻害薬、GLP-1作動薬等の軸索再生・再髄鞘化促進作用や、高グルコース負荷、抗ガングリオシド抗体、アミオダロン投与等による軸索変性・脱髄のメカニズムに迫りたい。
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Research Products
(14 results)