2011 Fiscal Year Annual Research Report
αシヌクレイン陽性突起の最早期像と進展に基づく病態診断法の開発
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22500325
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
内原 俊記 財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (10223570)
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Keywords | シヌクレイン / 軸索 / Pale neurite / tau isoform |
Research Abstract |
シヌクレイン沈着の早期像を同定するために、蛍光を発するnanocrystal(Qdot)でラベルした病変を蛍光立体像としてとらえた後、免疫電顕像と比較する新たな方法(3D-oriented immunoelectron microscopy)を開発し、αシヌクレイン沈着軸索沈着の最早期像であるPaleneuritesは低密度のLewy filamentからなることを初めて報告した(Brain Pathol 2012:22:67-78)。パーキンソン病では早期から心臓交感神経末端の軸索が脱落し、これを反映するMIBG心筋シンチグラフィーの取り込み低下が鑑別診断に有用であることを示してきた。αシヌクレインの蓄積後脱落するこの病的過程は,無髄線維に強調されることを電顕および免疫染色にて明らかにした(Neuropathol Appl Neurobiol 2011:37:791-82)。またタウの沈着の早期像を同定するために、昨年度開発した3リピート(3R)タウ特異的染色法を発展させ、2種のマウスモノクローナル抗体による3R/4Rタウ蛍光二重染色法を開発した(Histochem Cell Biol 2012:137:261-7)。3R,4Rタウの両者が沈着するアルツハイマー病海馬では、4Rのみ陽性のpretangle neuron,3R/4R共に陽性の神経原線維変化、3Rのみ陽性のghost tangleが区別でき、細胞病変の経時的変化に対応すると考えられる。超高解像度顕微鏡で観察すると、従来観察できなかった核内構造と病的構造との関連が詳細にとらえられることをヒト剖検脳で初めて示したが(AmJPatho12012:180:1095-1106),今後タウやシヌクレイン陽性構造にも応用し、電顕と比較する予定である。そのために3D-oriented immunoEMをピック小体にも応用し、ラベルしたQdotの元素分析を電顕下で行い、Qdotを構成成分であるセレンとカドミウムが含まれることを初めて示してラベリングの特異性を確認した(AmJPatho12012:180:1394-7)。分子-超微形態-三次元形態-病変の広がり-臨床症状へseamlessに繋がるこれらの捉え方を用いて、シヌクレイン、タウ、TDP43の特性と分子特異的病態を解明できる段階に本年度までに到達できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3D-oriented immuno electron microscopy等の新しい技術も開発し、今後タウ、シヌクレイン、TDP43等の病変のはじまりとひろがりを剖検脳で比較する段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
MIBG心筋シンチグラフィーの取り込み低下がパーキンソン病の診断に有用であるというこれまでの成果を、認知症特にレヴィー小体型認知症の診断に応用するために、多数の剖検例の解析を開始している。そのなかで、レヴィー小体の存在と心臓交感神経の脱落が関連しない例外も見いだされており、MIBG診断の限界も明らかにすることも本研究の視野にはいってきた。またこれまで本研究で確立した、新たな技術を用いてαシヌクレイン、タウ、TDP43の沈着様式を比較していけば、それぞれに異なる病態の特徴が明らかになり、病態の鑑別のポイントを明確して、臨床診断に貢献できると期待される。
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Research Products
(20 results)