2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期におけるストレス応答に対する快情動形成の役割―快情動モデルラットでの検証
Project/Area Number |
22500378
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Research Institution | Foundation for Advancement of International Science |
Principal Investigator |
堀 美代 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 研究員 (90399329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和雄 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 所長 (70110517)
坂本 成子 公益財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 研究員 (60419869)
大西 淳之 東京家政大学, 家政学部, 准教授 (40261276)
一谷 幸男 筑波大学, 人間系, 教授 (80176289)
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (30282312)
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Keywords | Tickling / 情動 / 幼若期 / ストレス / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究では、幼若期における情動の形成や脳の発達に対する快刺激の関与を解明する。隔離飼育ストレスによるストレス脆弱性に対して、快刺激が及ぼす効果を、行動学的指標および分子生物学的指標をもとに明らかにし、仔ラットの成長過程における快情動の役割、効果について検証する。22年度は、離乳直後から成熟期に達するまでの幼若期の持続的な快刺激がストレス耐性効果に及ぼす効果を、恐怖条件づけのストレス応答性の違いによって検証し、隔離飼育下の仔ラットは、快情動(50kHz高周波音声)を伴う遊び刺激(Tickling刺激)を持続的に経験することにより、自律神経系のストレス応答性が軽減されることを明らかにした。恐怖条件づけは学習および消去などの海馬を介する学習・認知能力も関与することから、本年度は、快情動のストレスレスキュー効果の検証として、海馬を介する学習能力にどのように作用するかをモリス水迷路課題による空間認知能力によって検証した。その結果、幼若期の遊び刺激の効果は、成熟直後においては集団飼育群、快刺激群、隔離飼育群ともに空間認知能力に違いは見られなかったが、快刺激終了後の4週間後では快刺激群、集団飼育群は遊び刺激のない隔離飼育群と比較して学習習得日数が有意に短かった。しかし、学習達成後におけるプローブテストは3群ともに差は認められなかった。一方、オープンフィールド課題による新奇性希求能力および強制水泳課題による不安行動を検証したところ、オープンフィールド課題において走行距離などの運動量に差は見られなかったものの、快刺激群はrearing行動が有意に増加した。さらに、快情動とストレスに関与する因子の選別として、海馬のマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行い、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響により動物飼育施設および行動解析実験室の使用に支障をきたした。そのため、実験への着手が遅くなったために期間内に全ての解析が終了しなかったが、申請書の計画にある実験を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の本年度は、22年度、23年度の結果をふまえ総括するため、共同研究者間の意見交換の場を設けて各分担者の専門分野から、本研究のテーマである幼若期の快情動の作用部位、作用機構の解明にアプローチする。
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Research Products
(2 results)