2011 Fiscal Year Annual Research Report
培養心室細胞由来基質上でのES細胞の分化促進による心室モデルの創出
Project/Area Number |
22500424
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
馮 忠剛 山形大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10332545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝夫 山形大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00142654)
小沢田 正 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10143083)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
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Keywords | ES細胞 / 分化誘導 / 細胞外基質 / 組織構築 / 心筋再生組織 / 灌流bioreactor / 力学特性 |
Research Abstract |
近年再生医療の飛躍的な発展によって心筋再生治療はすでに臨床試験の段階に進展した。しかしこれまでの治療方法のメカニズムはあくまでも移植された細胞から分泌するサイトカインの影響により自己の組織修復能を賦活化し、心機能が改善したと推測された。失われた心筋組織の修復・再生、心臓ポンプ機能の補助はまだ実現されていない。そこで、本研究は幹細胞工学、タンパク質工学及び細胞組織工学の融合により応用基礎研究として、ES細胞の心筋細胞への分化誘導からタンパク修飾した細胞培養基質による分化促進・組織構築を行い、生体機能を有する心室モデルの創出を目指す。本研究は、心筋再生医療領域における新たな展開と心筋発生学・心筋生理学に大きなインパクトをもたらすことが期待できる。 本年度は研究計画に従って、以下の研究結果を得た。 1. 豚羊膜を脱細胞と酢酸処理による構造改良を行い、その上に分化したマウスES細胞を播種し細胞組織工学的心筋単層を作成し、この心筋単層を二層積層して、二層の間の培養液灌流bioreactorを開発し、この灌流システムを利用して、積層の間に毛細血管と同じ流速の灌流流れを確認した。この成果は、積層による3次元心筋再生組織の構築に当たる組織内部の栄養の供給と老廃物の排除の問題を解決する手かかりになる。 2. 分化・誘導したES細胞胚様体を羊膜に播種・培養し、酢酸で処理したサンプルが処理していない方に比べ拍動比率が高い傾向を示した。また、酢酸の濃度が高くなると拍動比率の上昇の遅れが見られた。この研究結果は培養基質の力学特性がマウスES細胞の心筋細胞への分化に重要な影響を与えることを示唆され、心筋細胞の高効率な分化・誘導につながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画従って、心筋単層を二層積層し、二層の間の培養液灌流実験を行った。また、培養基質の力学特性がマウスES細胞の心筋細胞への分化に重要な影響を与えることを示唆した。よって、本年度は当初の研究計画を概に達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は24年度の研究計画に従い実施する。特に、心筋サックの作製とその機能測定、また動物への移植実験を精力的に行う。
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Research Products
(5 results)