2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動負荷頸動脈エコーは左室機能の運動応答指標になり得るか?
Project/Area Number |
22500446
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
泉 唯史 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (40278990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 みどり 姫路獨協大学, 医療保健学部, 講師 (50441332)
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Keywords | 漸増運動負荷 / 呼気ガス分析 / 頸動脈エコー / Wave Intensity(WI) / 血流速変化 / 頸動脈径変化 / 心機能 / 酸素摂取量 |
Research Abstract |
[具体的内容]安静時での経胸壁心エコー評価では日常生活における心機能応答を十分に評価しきれないことから,運動負荷頸動脈エコーによる評価法を試みた。すなわち、外頸動脈における血流速変化(dU/dt)と径変化(dD/dt)の計測を組織ドップラー法により経時的に施行し、この2つの値の積の時間変化を解析することにより心機能応答の評価に寄与するかどうかが本研究の課題である.昨年の研究成果に基づき、本年は客観的な指標として得られる運動強度(VO2)に対して、頸動脈エコー図から得られた頸動脈内径変化(dD/dt)と頸動脈血流速度変化(dU/dt)の積(Wave Density 1^<st>、2^<nd>),および経胸壁心エコー図から得られた左室収縮能および拡張能指標とを比較し,運動負荷頸動脈エコー図所見が左室機能の運動応答指標となり得るかを検証した.運動負荷強度の増加に対して多くの被検者が2nd Wave DenstiyとEmは有意な負の相関を認めた。一方、正相関を示すものや無相関を示すものも認められた。またE/Emと2nd Wave Densityとの関係ではいずれの被検者も有意な相関を示さなかった。これらの結果は、Emが容量変化を伴わない拡張早期の弛緩を僧帽弁の後退速度として記録している一方,Wd2は駆出末期における左室の急速弛緩すなわち左室圧の急速な低下を表現していることから,駆出期から拡張期におけるいわゆる拡張能評価の時相の相違が影響しているものと考えられる.【意義】Wave Densityの手法を用いた心機能評価が現時点で有効とされる組織ドップラー法との関係において、ある程度有意な相関が認められた。本手法の論理的確立は運動負荷中の心機能応答変化を有効にとらえられる臨床的手法として大きな意義がある。【重要性】運動負荷強度の増加による心拍数増加、すなわち心筋拡張時間の短縮が、Wave Densityの理論を用いることにより明らかにすることができることが示唆されたことは、今後の研究に極めて重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる指標であるWave Denstyの1stWaveと2ndWaveがそれぞれ収縮能および拡張能といかなる関連が認められるか、それが新たな運動負荷中の心機能応答の指標となりうるかを検討することであった。平成23年度での研究計画における収縮能および拡張能のうち拡張能のデータ取得は進展しているが、収縮能のデータ取得がいまだ不十分である。一方、Wave Densityのデータ取得は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究組織において,現在は講師との2名体制で行っているが,かつての共同研究者で昨年定年退官された名誉教授とのデータ解釈における意見交換および市内の病院にて心臓超音波検査を業務としている臨床検査技師の技術協力は,今後も継続可能であること,および近畿圏の医科大学との共同研究も射程距離に入りつつあることなど,今後の研究課題推進において,何ら不安材料はない.
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Research Products
(11 results)