2011 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ行政におけるガバナンス変容の研究-スポーツ振興事業の諸改革に注目して-
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22500565
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
中村 祐司 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50237442)
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Keywords | スポーツ政策 / ローカルガバナンス / スポーツ基本法 / 東日本大震災 / 被災地支援 / 総合型クラブ / 公共スポーツ施設 |
Research Abstract |
2011年6月に「東日本大震災後の地域スポーツ組織の役割と課題」をテーマに研究室ホームページに論文を掲載した。震災後の総合型クラブが抱える活動再開への課題やスポーツを通じた被災地支援の特徴について考察した。 同年10月には、論文「スポーツ基本法と地域スポーツへの期待」(『みんなのスポーツ10月号』)を作成し、とくに地域スポーツ行政をめぐる基本法の課題を明らかにした。 同年11月に刊行された『スポーツ政策論』において、第1編第6章第3節「スポーツ政策ネットワーク」および第3編第1章第2節「自治体におけるスポーツ政策ネットワーク」を執筆した。前者ではスポーツを対象とするネットワーク分析の枠組みを、後者では地方自治体レベルにおけるスポーツ振興事業の類型を提示した。 同年12月に刊行された『詳解スポーツ基本法』において、第H編第1章第5節~第8節を執筆した。地方スポーツ推進計画、地方のスポーツ推進審議会等、指導者の養成等、スポーツ推進委員、顕彰、スポーツ振興事業、体育の日といった重要課題項目に関わる基本法の該当条文の内容について解説した。 2012年1月に「スポーツ基本法の担い手としてのスポーツ推進委員の役割」と題する論文を研究室ホームページに掲載した。前年8月施行のスポーツ基本法において、従来の体育指導委員に代わるスポーツ推進委員の役割と課題について考察した。 そして、同年2月の論文「東日本大震災による地域スポーツガバナンス拠点の損失-被災地公共スポーツ施設の現地調査を通じて-」(宇都宮大学国際学部研究論集)では、震災後の被災地自治体の現地調査を通じて直接的に入手した情報や資料をもとに、スポーツ施設機能の損失状況や転用状況、復旧や再稼働への動きや課題を把握・提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績欄に示したように、とくにスポーツ基本法成立後のスポーツガバナンスの変容をめぐる考察を行った。また、東日本大震災後のスポーツ社会の状況変容において、被災地調査の実施等を通じて、本テーマをめぐる研究の進展に努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主軸であるスポーツ行政におけるガバナンス研究は今後とも推進していく。しかし、2011年3月東日本大震災以前は、社会における「平時」を前提とした研究のスタンスを当然視していた。震災後は、研究の三つの対象領域である生涯スポーツ振興事業、スポーツ環境整備事業、競技スポーツ振興事業のいずれもが、とくに被災地自治体である岩手県、宮城県、福島県においてはこれまでにない動揺に直面している。そこで、地域スポーツガバナンスの新構築が震災復興へ寄与する側面にも注目し、これを含めた形で研究を進めていく所存である。
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Research Products
(10 results)