2012 Fiscal Year Annual Research Report
登山事故を防止するための運動生理学・体力科学的なフィールド研究
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22500583
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
山本 正嘉 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (60175669)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 登山 / 事故防止 / 体力 |
Research Abstract |
本研究は,安全で健康増進にも役立つような登山の方法論,すなわち「登山処方」の確立を目指すものであり,4年間で以下の4つの課題を設定している.1)登山中に身体が受ける負担度の解明,2)登山中の身体ケア(運動強度,水分やエネルギーの補給など)に関する指針の作成,3)登山者のための体力評価法の確立,4)登山者のための体力トレーニング法の確立.本年度は,3)と4)を中心に検討し,以下の結果を得た. 3)登山者のための体力評価法の確立:登山に必要な体力として,中心となるものは心肺持久力と筋力である.このうち,心肺持久力を評価するための2つのテストについて検討した.1つは,実際の山を利用して,1時間当たりの登高能力からメッツ値を算出する方法である.またもう一つは,踏み台昇降運動を用いたPWC150テストである.いずれのテストについても,妥当性や信頼性を確認することができた. 4)登山者のための体力トレーニング法の確立:これまでの研究により,現代の登山者にとっては,心肺持久力よりもむしろ筋力が大きく不足しがちであることが明かとなった.特に,大腿四頭筋および腹筋群の筋力強化がポイントになるという結果であった.そこで,これらの筋力をトレーニングするために,どのようなエクササイズが適切化について,筋電図法を用いて検討した.その結果,大腿四頭筋の筋力については,①平地ウォーキングでは不十分,②坂道ウォーキングやジョギングではほぼ登山並み,③自体重を負荷としたスクワット運動や椅子の座り立ち運動では十二分な負荷をかけることができる,ことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間で4つの課題を設定しているが,3年を経過した段階で,1~4までの全課題について,一通りの研究ができた.このため.最終年度の今年は,足りない部分の研究を補足した上で,1~4までの総合的な検討を加えることで,完了が予想できるため.
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記したとおり,4年間で設定した4つの課題は,一通り検討を終えたが,3)体力テストの開発と,4)体力トレーニングの開発については,本研究の成果を登山の現場に役立たせるための,最も重要な部分である.従って,今年度はこの2点に最重点を起きつつ,最終のまとめを行う予定である.
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Research Products
(16 results)