2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500642
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
菊池 和美 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (00406703)
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Keywords | 社会系心理 / 社会関係 / コミュニティ / 犬の散歩 / 余暇活動 |
Research Abstract |
本研究では、地域コミュニティ機能の再生を促す上で、ソーシャル・キャピタル(社会関係資源)の醸成は欠かせない。本研究では、地域ソーシャル・キャピタルの醸成を促進する社会活動の一つとして、「ニューレジャー(新しい余暇活動)」(レジャー白書2008)として注目されているペットとしての「犬の散歩」を楽しむ人々の相互行為を分析し、「犬の散歩」を通して形成される地域コミュニティにおける社会関係形成と、その発展形として行なわれているボランティア等の市民活動の経過をたどることにより、地域のソーシャル・キャピタルの醸成にいかなる役割を担い得るのかを探索するものである。また本研究では、これらの研究で得られた知見をもとに、「犬の散歩」を通して形成される社会関係が、地域コミュニティのソーシャル・キャピタルとして、いかに作用しているのかを分析し、これらの活動に参加しているコミュニティの中高齢者の主観的QOL(Quality of Life)とソーシャル・キャピタルの充実に関する認識を明らかにするものである。 平成23年度には、当初の研究計画のとおり研究H(実証研究)に着手した。まずは予備研究の実施を進め、質問紙によるデータをもとに設問内容の修正を経て、本調査質問紙を作成した。また十分な研究協力者の確保にむけては、倫理委員会の助言と承認を得た上でインターネット調査手法を用いた調査実施に至った。調査は、犬の世話を行っている人を対象とするために二段抽出方式で実施し、さらに自然回収方式により、10から70歳代の全国2000名の男女からの回答を得た。本実証的調査研究については、すでにデータ回収を終え、一次データの処理までを完了した。現在さらに詳細な解析に着手した段階である。さらに、平成24年度にかけては、同調査に随伴した研究として、研究Iの調査対象地域において郵送留め置き方式を用いたアンケート調査を実施し、対象地域の差異についても調査検討する予定である。この研究IIに随伴したアンケート調査については、平成23年度内に既に一部調査を開始した段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のとおり研究I研究IIを実施することができた。個々の調査実施方法においては、より精度の高い調査の実施に向けて調査方法を一部修正変更した点もあるが、そのことにより、調査対象を全国規模へと拡大することができたことから、得られた成果も高いものと考えられる。今後最終年度に向けては、調査内容のより詳細な分析と検証、また報告等が中心となる予定である。引き続き当初の計画以上の進展と成果があげられるよう努力していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、すでに研究IIの実施に当たり調査対象者の確保と確実なデータ回収とを実現し、尚且つ倫理上の配慮を同時に実現するために、研究手法を郵送留め置きより、インターネット調査手法へと変更することした。この変更に伴い、研究IIの補足研究として同質問紙を用いた郵送留め置き調査の実施を予定している。この補足研究により、対象者を全国規模へと変更したことにより生じた変化を検討することも可能となるものと考えられる。本研究は当初、特定の地域コミュニティに限定した研究として着手したが、ある特定の地域の特異な現象としてのみとらえるものではなく、これらの対策を講じることにより、広く研究の成果を検証する上でも有効なものと考えられる。
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Research Products
(2 results)