2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動及びアルギニン摂取が血小板凝集及び・血中凝固・線溶に及ぼす影響
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22500661
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大桑 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80115675)
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Keywords | 肥満 / 血液線溶 / タンパク質酸化 / 還元型グルタチオン / 運動 / アルギニン摂取 |
Research Abstract |
今年度の研究目的は肥満ラットにおいて運動と6%アルギニン摂取が血小板凝集と血液線溶に及ぼす影響をタンパク質への酸化と抗酸化機能から検討することである。プラスミノゲン活性化因子がプラスミノゲンを活性化し、プラスミンを形成する線溶系により血栓の会解が行われる。活性化因子にはプラスミノゲン活性化因子(t-PA)とウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(u-PA)の2つがある。本研究においてこれらのプラスミノゲン活性化因子を肥満群と正常群ラットにおいて比較した。肥満ラット群のプラスミノゲン活性化因子は健常ラットに比べ有意に減少していた。また肥満ラットのアルギニン摂取群と運動群は対照群に比べ有意にプラスミノゲン活性化因子の増大が認められた。これらの結果は肥満ラットにおいて、運動及びアルギニン摂取は血栓予防に効果的であると考えられる。しかし運動+アルギニン摂取は血栓予防への効果は認められなかった。肥満ラットのタンパク質の酸化(カルボニルタンパク質の生成)及び酸化型グルタチオン/還元型グルタチオン(GSSG/GSH)比は運動及びアルギニン摂取群において対照群に比べ有意に減少した。一方運動+アルギニン摂取群は対照群と有意な差は認められなかった。これらの結果から肥満ラットにおいて、運動及びアルギニン摂取はタンパク質の抗酸化に効果的であると考えられる。また肥満ラットにおいて、アルギニン摂取は血中窒素酸化物が増大した。この結果は肥満ラットにおいては生体内での窒素酸化物の生成増大及び尿中への窒素酸化物の排出能力の低下が考えられる。結論:これらの結果から肥満ラットにおいて、運動及びアルギニン摂取は線溶活性を高めることが明らかとなった。これはタンパク質の酸化抑制や抗酸化機能の改善が関与していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は高齢ラットを対象に運動及びアルギニン摂取の効果を血液凝固及び抗酸化機能から検討し、本年度は肥満ラットを対象にこれらの効果を検討した。両実験結果において運動及びアルギニン摂取効果が認められた。次年度は糖尿病ラットを対象にこれらの効果を検討することから、計画通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策において:これまでの研究において運動及びアルギニン摂取は血栓の予防に効果的である(線溶系を活性化する)ことが明らかとなったが、運動+アルギニン摂取は対象群と有意な差が認められなかった。この結果は摂取するアルギニン濃度が関係していることが考えられる。これまでに6%アルギニン摂取は運動能力を向上させるとの報告があり、本研究においてもアルギニン濃度を6%に設定したが、低いアルギニン濃度がさらに良い効果をもたらすことが予想される。従って今後の推進方策として、3%濃度でのアルギニン効果を検討したいと考えている。
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Research Products
(7 results)