2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域金融機関と共同する高齢者への経済的虐待防止モデルの開発
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22500705
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
坂本 勉 佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (70329994)
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Keywords | 高齢者虐待 / 経済的虐待 / 成年後見制度 / 金融機関 |
Research Abstract |
<平成23年度研究> 国内金融機関との共同研究において浮かび上がってきた課題を整理し、諸外国との比較研究を行う。調査対象国はカナダおよびアメリカとする。 1、カナダにおける先行事例調査 カナダでは、金融機関のスタッフを含め経済的虐待をどのように食い止めるか、またその防止に関する必要な教育について検討するため、高齢者と金融機関の間に設立された組織が発足している。その組織は、The British Columbia Coalition to Eliminate Abuse of Seniors(B.C.CEAS)といい、高齢者の経済的侵害に対して予防的な活動を行うことを目的として設立されている。そしてプロジェクトの構成メンバーは、カウンセラー、カナディアンシニアネットワーク、老年学研究センター、サイモン・フレーザー大学、バンクーバー大学そして地方金融機関の代表者となっている。視察およびヒヤリングした結果、金融機関向けの職員トレーニング教材やマニュアルを作成し、金融機関のトレーニングに活用している。現在個別事務所を構え、弁護士5名とソーシャルワーカーがチームを組みその対応を行っている。 2、アメリカにおける民間活動団体(Elder Finacial Protect Network : EFPN)の視察 上記カナダでの先行研究調査と同時に、アメリカでの民間団体についてもヒヤリングを行った。この団体はElderFinacialProtectNetwork:EFPNという名称で、高齢者への経済的虐待を防止すべく活動している。特に地元の金融機関への協力をいただき、金融機関本部の事務所の一部を無償提供していただきながら活動している。この団体でも高齢者への経済的虐待問題を広く啓発普及すべくマニュアルや教材等を作成し、その活動に生かしている。最も、この団体では金融機関からの活動資金の援助と同時に年1回行われる、NATIONAL SUMMIT ON FINANCIAL EXPLOITATION OF THEELDERLYという大会を実施し、高齢者などへの不当な経済的虐待を防止する活動を行っている。金融機関との連携モデルとしては非常に参考になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度に関しては地域金融機関への調査から、高齢者虐待対応を行っている近畿圏の地域包括支援センターへ調査へと変更した。高齢者への虐待がどのような状況にあるのかを数値データとして把握することができ同時に、経済的虐待に関する実情についても興味深い調査結果が得られた。また、2年目における海外視察に関しては、カナダでの視察およびヒヤリングと同時に、アメリカにおけるNPO法人が積極的に活動を展開している状況を知ることができ非常に大きな収穫があった。これらのヒヤリング内容をまとめ、平成24年度中に関係する学会及び研究雑誌に掲載する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、2カ年間の研究内容に基づき、日本における高齢者虐待対応を担っている弁護士・司法書士・社会福祉士および金融機関の関係者を加えて研究協議会を発足する予定。これら最終年度の意見交換になかで、わが国で実施可能な活動やその可能性について整理し、最終年度のまとめとしたい。
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Research Products
(2 results)