2010 Fiscal Year Annual Research Report
周産期医療を組み込んだ子育てハイリスク群支援ネットワークの実践モデルに関する研究
Project/Area Number |
22500707
|
Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
井上 寿美 関西福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (40412126)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹倉 千佳弘 就実短期大学, 幼児教育教育学科, 准教授 (60455045)
|
Keywords | 妊婦健診未受診妊産婦 / 子育て文援 / 子育てハイリスク群 / 子育ての第一義的責任 / 子どもの育ち |
Research Abstract |
昨年度の研究の成果は次の7点である。 1 妊娠期間中にほとんど産科を受診せず、かかりつけ医をもたない状態で分娩前後に医療機関を訪れる妊婦健診未受診妊産婦(以下では「未受診妊産婦」とする)は、子育てハイリスク群である。 2 子育てハイリスク群としての未受診妊産婦の多くは低階層にみられる。 3 未受診妊産婦は、(1)10代~20代前半に多い「自分の意思というものがない」タイプ、(2)20代後半に多い「壊滅的にだらしない」タイプ、(3)30代後半以降に多い「確信犯」タイプの3つに類型化される。 4 多くの先行研究が未受診による分娩を回避するために有効とみなしている、学校・保健機関等による妊産婦に対する教育・啓発活動は有効でない。 5 「確信犯」タイプ以外の未受診妊産婦に対しては、出産直後からいかなる子育ての支援が行われたとしても、子どもを自らの手で育てる可能性は極めて低い。 6 未受診妊産婦の実態をふまえると、子育ての第一義的責任を親とする「子育て支援」の枠組みで行われる支援は、子育て支援の資源を利用する意思や能力に乏しい親に対して実効性をもたない。 7 以上の6点から、支援が「子育て支援」の枠組みで行われた場合、低階層の子育てハイリスク群の親の下に産まれた子どもを含めた、すべての子どもの育ちを保障することは困難である。したがって、子育てハイリスク群への支援の実践モデルを構築するには、子育ての第一義的責任を親としない支援の枠組みを創出する必要がある。
|
Research Products
(6 results)