2011 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼・嚥下機能に応じた粥の性状と安定的な調製方法の検討
Project/Area Number |
22500737
|
Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
綾部 園子 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90320647)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平方 千裕 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助手 (60533114)
|
Keywords | 米 / 摂食・嚥下 / 物性 / 官能評価 |
Research Abstract |
23年度は、米と水の割合を10%、15%、20%とし、粥に種々の添加材料(ゼラチン・粉寒天・白玉粉・上新粉)を加えて調製し、遊離水分量・固形分量・テクスチャー特性・温度変化を温度ラガーにより経時的に測定し、加熱終了後の経過時間・添加物の効果・保温条件が粥の性状に及ぼす影響について検討した。また、冷凍保存(-40℃)による影響についても検討した。 粥の温度上昇は、寒天と白玉粉添加で遅く、温度低下はゼラチンで遅かった。遊離水分量は、10%粥>15%粥>20%粥の順であり、保存時間が長くなると遊離水分量は少なくなった。また寒天添加はもっとも遊離水分量が少なかった。70℃保存でも同様の結果であったが、寒天添加ではゲル化が抑制され遊離水分量は多くなった。粥洗液中の固形分量は、いずれの粥濃度でもほぼ同じ値を示し、25℃保存の寒天は有意に多かった。これは粥の周囲の重湯が凝固し、寒天とともに分離したためだと考えられるが、70℃保存では無添加と有意な差がなかった。粥の硬さは粥の濃度が高いほど硬くなり、15%粥では寒天が最も高い値となった。ゼラチン添加では無添加よりも軟らかく、重湯の流動性が保たれていた。70℃保存では、添加材料によるに差は小さく、時間経過とともに軟らかい粥になった。付着性は、粥の濃度が高いほど高くなり、硬さとは逆に経時的に高くなる傾向があった。凝集性は粥の濃度・保存条件による影響はなかった。なお、冷凍保存後、解凍した粥の性状は30分保存試料との差はほとんどなかった。 以上の結果から、嚥下困難者用食品の許可基準に近い値を示したのは、10%粥であり、介護食用粥に適する添加材料はゼラチンであることが示唆された。また冷凍保存はほとんどの項目で解凍した粥の性状の変化は少なく、粥の保存方法として有用であると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度は粥の材料と保存条件による性状の変化について検討し、添加材料としてゼラチンが適することと、冷凍保存の有効性について明らかにし、おおむね順調に進展している。しかしながら、高齢者の調査については、やや進行が遅れており、(2)の評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
粥を食べている高齢者の身体状態とくに口腔状態(残存歯、入れ歯、咬合、反復唾液嚥下テスト(RSST)および改良水のみテスト(MWST))を調べ、日常生活自立度(ADL)について聞き取る。喫食している主食の種類(白飯、軟飯、全粥、七分粥、五分粥、ミキサー粥など)を調査し、両者の関連性を明らかにし、同時に提供時の主食の物性を測定する。 データを総合的に解析し、高齢者の身体状況に適合し、状態変化の少ない粥の調製・保存・再加熱方法を明らかにし、最適条件で調製した粥について、高齢者パネルおよび専門家パネル(高齢者施設調理担当者)で、官能評価し、妥当性を明確にする
|