2010 Fiscal Year Annual Research Report
乳タンパク質の自己会合及びゲル形成機構解明への高感度超音波分光分析の活用
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22500747
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Research Institution | Nihon University Junior College |
Principal Investigator |
太田 尚子 日本大学, 短期大学部・食物栄養学科, 教授 (00203795)
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Keywords | タンパク質ゲル / カゼインミセル / 脂肪酸塩 / 相転移 / 乳ホエータンパク質 |
Research Abstract |
種々の乳タンパク質画分と脂肪酸塩の相互作用を明らかにすることを研究の目的とした。既報のβ-ラクトグロブリンAタイプを用いたカプリン酸ナトリウム誘導ゲル形成機構と、β-ラクトグロブリンBタイプまたはβ-カゼインを用いたカプリン酸ナトリウム誘導ゲル形成性を、動的粘弾性測定及び超音波分光分析を用いて比較検討した。その結果、β-ラクトグロブリンBタイプを用いた場合は、Aタイプに比べてより緩慢なゲル形成が導かれること、一方、β-カゼインの場合は脂肪酸塩の添加によりゲル形成が阻害され、カゼインタンパク質の自己会合のみが生じることが明らかになった。しかしながら、β-ラクトグロブリンBタイプの一部(総タンパク質濃度の半分)をβ-カゼインに置換した場合には、β-ラクトグロブリンBタイプ単独の場合に比べ、約2倍の時間を要するものの近い弾性率を有するゲルが形成されることが判った。即ち、混合タンパク質系においてはβ-カゼインは自身の自己会合反応を抑えてβ-ラクトグロブリンのゲル化に参加することが明らかになった。このことは、β-カゼインが乳タンパク質混合系のテクスチャーモディファイヤーとしての役割を果たす可能性を強く示唆するもので、広く乳タンパク質を含有する加工食品(例えば乳飲料等)の調製などに活用できることが判った。H23年度以降の研究では、カゼインフラクションを用いた研究へと展開し、更には卵タンパク質との相互作用も調べる予定である。
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Research Products
(2 results)