2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22500750
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
花崎 憲子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (10228504)
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Keywords | パラチノース / ビスコッティ / 歯がため / 官能評価 / 咀嚼筋の筋電位計測 |
Research Abstract |
クッキーで実施した咀嚼筋の筋電位計測では、パラチノースと上白糖の差異を明確にすることが出来なかった。そこで、小麦粉、B.P.、糖、卵を用い、二度焼きして作られる焼菓子のビスコッティを調製し試料とした。ビスコッティはバターを使わないので硬く、飲み物に浸して食す習慣の焼菓子である。50人の女子学生を被験者として実施したシェッフェの一対比較法による官能評価において、パラチノースビスコッティは食感や総合評価が上白糖ビスコッティに比べて好ましくないと評価された。一方、噛んだ時に硬い、噛み砕きにくい、溶けてドロドロにならない、噛んでいる時間が長い、飲み込みにくい、砕ける大きさが大きいという評価は、歯がため用の焼菓子として適していると推察された。咀嚼筋の筋電位計測は、咀嚼時間、咀嚼回数、咀嚼サイクル、筋活動量において20人の平均値では差異が見いだせなかった。 そこで、焼菓子を人工唾液に一定時間浸漬させ、人工唾液の吸着量測定と定速圧縮破断試験を試みた。上白糖ビスコッティは吸水が早く進行し、5分で平衡状態に近く、パラチノースビスコッティは上白糖の吸水量の約50%であり、定速圧縮破断試験により口腔内での硬さの持続が確認出来た。 ビスコッティを製品化した後の吸湿保存後の吸着水分量と水分活性の変化を調べた。保存時の湿度が同一の場合、パラチノースビスコッティは上白糖ビスコッティより吸着水分量が高く湿気やすいと考えられたが、吸着水分量が同値の場合は、パラチノースビスコソティは水分活性が低く保存性が高い事がわかった。咀嚼筋の筋電位計測は食習慣の影響など個人差が大きいので、被験者ひとりびとりで糖による差異があるかどうか検討する必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
咀嚼筋の筋電位計測を行ったが、咀嚼は食習慣の影響があり個人差が大きい。咬合力の大きい人が咀嚼時間が短いとはかぎらず、20人の被験者ではパラチノースの効果が判断しにくい。問題点がないかデータを見直す必要を感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
官能評価で有意差があるのに咀嚼筋の筋電位計測では差が出ない。被験者各入について、パラチノースビスコッティと上白糖ビスコッティ間に何らかの傾向が見られないか筋電位計測データを検討し、以下の事を進める予定である。(1)咀嚼周期と筋活動量に関して、咀嚼初めの5ストロークの値が全ストロークより大きい傾向にあり、咀嚼の初期に差異が出てくる可能性が高い。(2)ビスコッティの構造はクッキーと比較すると粗であるので、試料の厚さをさらに正確に仕上げる。また、示差走査熱量測定(DSC)の吸熱曲線により、糖による差異を確認する。時間が許せば小麦粉の一部を米粉やアーモンド粉末に代替し、食感と風味の改良を目指す。
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