2010 Fiscal Year Annual Research Report
微量元素による老化制御機構の解明-亜鉛ニュートリオミクスの新展開-
Project/Area Number |
22500772
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
横井 克彦 聖徳大学, 人間栄養学部, 教授 (10200883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許斐 亜紀 愛知学泉大学, 家政学部, 講師 (40529658)
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Keywords | 老化 / 微量元素 / 亜船 / プロテオミクス / ニュートリオミクス |
Research Abstract |
我が国は、超高齢化社会を迎え、経済的にも苦境に立たされている。また、直ちに少子化が解消されたとしても今後30年間生産年齢人口の減少が続く。この状況に対して、老化制御による健康寿命の延伸と生産年齢の延長が、唯一、残された対策であるが、それには「老化の制御」という自然科学上の課題克服が前提となる。 ニュートリオミクスNutriomicsは、栄養素の機能発現の総体であるニュートリオームすなわち、ゲノム、プロテオーム、メタボローム、フィジオームの系統的解析を目指した新規技法である。本技法を老化制御の研究に応用することにより、解決策が得られるものと期待される。 2008年に日本微量元素学会で「老化促進要因としての微量元素欠乏症一微量元素はアンチエージング効果をもたらすか一」というテーマでシンポジウムが開催されたように、微量元素欠乏症が老化を促進する重要な要因と考えられるに至り、鉄欠乏や亜鉛欠乏を始めとする微量元素欠乏症の多い日本人は、老化が促進される栄養状態にあることを指摘した次第である。 本研究では、その端緒としてその病態が老化に類似している亜鉛欠乏を取り上げ、亜鉛欠乏ラットの肝臓中タンパク質を、ポリアクリルアミドゲル二次元電気泳動法(2D-PAGE)で分析した。自由摂取対照群、亜鉛欠乏群、ペアフェッド対照群の肝臓中タンパク質を主成分分析で統計解析した結果、3第1成分は実験群の間ですべて有意差があり、しかも亜鉛欠乏群の値は、自由摂取対照群とペアフェッド対照群の中間であった。第2成分は、自由摂取対照群とペアフェッド対照群の値がほぼ等しく、1亜鉛欠乏群の値は、両対照群に比べ有意に低かった。以上の結果から、亜鉛欠乏自体の影響が見られるタンパク質群と摂取制限の影響が見られるタンパク質群が存在することが示唆された。また、老化に関与すると想定される数種のタンパク質が飛程時間分解型質量分析法により同定された。 以上のことから、ニュートリオミクスを用いることによって微量元素欠乏による老化促進機構が解明され、老化制御の克服に資することが出来ると考えられた。
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Research Products
(12 results)