2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22500773
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
永田 智 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70266055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90338335)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 小児肥満 / プロバイオティクス / Lactobacillus / 腸内細菌叢 / 16S ribosomal RNA / エネルギー・コントロール食 / Bifidobacterium |
Research Abstract |
研究代表者の所属施設の小児科外来において、肥満小児8例と同年齢の健常児24名の初診時の腸内細菌叢および便中有機酸を、それぞれ16SリボゾーマルRNA をターゲットとした定量的RT-PCRとHPLC分析により解析を行ったところ、肥満群の便ではBifidobacteriumの著明な減少(肥満群 7.7±1.6;健常群 9.8±0.5 Log10cells/g;以下単位略)が認められる一方で, Enterococcus の明らかな増加(肥満群 6.1±0.9;健常群 5.3±0.9)が認められた。また、肥満群で便中酢酸濃度の明らかな低下が認められた(肥満群 32.5±3.5;健常群 58.1.3±17.3μmol/g)。Lactobacillus casei シロタ株含有飲料の飲用が、腸内細菌叢をBifidobacterium優位にできるか否かを検索するために、健常群に同飲料を飲用させたところ3か月目から同菌の有意な増加が認められた(10.0±0.3,p<0.05)。肥満児におけるエネルギー・コントロール食による6ヶ月目の食事治療下の腸内細菌叢は、Bifidobacteriumの増加は辛うじて認めらたが(8.2±1.3, p<0.05)、Enterococcusの減少は認められず、臨床的にも肥満は解消していなかったため、肥満群においても、シロタ株含有飲料を開始した。 Bifidobacterium は、抗炎症効果を持ち、脂肪細胞由来の炎症性サイトカインに拮抗して肥満に抑制的に働く可能性があるが、胃酸等に弱く、外来的に補給することが困難である。一方、シロタ株には、Bifidobacteriumの増殖を促す働きがあり、同時に、耐糖能の是正や高脂血症の改善効果が報告されていることから、同菌が肥満解消や合併症予防に役立つことが証明できれば、生活習慣病の発症に歯止めをかけることができよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象となる健常児のリクルートはスムーズに進んだが、肥満患者のエントリーが遅れたことと、思春期にさしかかった患者が採便を嫌がり、当該年度初期において糞便検体の収集に遅れを来たしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
外来にて経肛門的に綿棒を挿入して付着した糞便検体(直腸スワブ法)と排便したものから直接採取した検体を試験に供し、腸内フローラ、便中有機酸の濃度を比較したところ、結果に明らかな差がなかったことから、当該年度後半は、直腸スワブ法による採便に切り替えたところ、順調に検討が進められた。同法にて、対象肥満児をあと2名以上登録して(計10例以上)とし、エネルギー・コントロール食による食事治療の効果の乏しい例に対して、Lactobacillus casei シロタ株含有飲料を併用して、腸内細菌叢・便中有機酸について健常群、飲用前と比較検討を進める。
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